2024年03月29日( 金 )

中央構造線上の他地域大地震発生への警戒を

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は平成28(2016)年熊本地震の発生後も稼働を続けている九州電力川内原発について、震源が分布している中央構造線に近く地震が起こる可能性があるとし、早急な停止を求めた4月16日付の記事を紹介する。


 昨日のブログ記事、メルマガ記事に1596年に発生した慶長伊予地震、慶長豊後地震、慶長伏見地震について記述した。420年前のことだ。1596年9月1日に、愛媛の中央構造線・川上断層セグメント内M7.0規模の地震が発生。3日後の9月4日に、豊予海峡を挟んで対岸の大分でM7.0-7.8の慶長豊後地震(別府湾地震)が発生。この豊後地震の震源とされる別府湾-日出生断層帯は、中央構造線と連続あるいは交差している可能性があるとされている。さらにその翌日の9月5日、これらの地震に誘発されたと考えられるM7.0-7.1の慶長伏見地震が京都で発生。「こうした連鎖、連動関係に十分な警戒が求められる」と記述した。

 そして、4月14日のM6.5の地震に続き、4月16日午前1時25分頃に、M7.3の大地震が発生した。
熊本市では震度6強の強い揺れが観測された。気象庁は4月14日の地震を4月16日の地震の「前震」とし、4月16日の地震を「本震」であるとの「訂正」を発表した。

 熊本ではさらに、午前1時46分頃に 震度6弱
 午前3時55分頃に 震度6強
 午前9時48分頃に 震度6弱
 の地震が観測された。

 地震の震源は熊本、阿蘇、大分に分散している。しかし、共通している点は、これらのすべてが「中央構造線」上で発生していることである。1596年の慶長伊予地震、慶長豊後地震、慶長伏見地震は4日以内に連続して発生したものであるが、共通点は、これらの地震が「中央構造線」上で発生していることだ。

 日本列島を縦断する「中央構造線」。この「活断層」が活動を活発化させていると考えられる。阿蘇山が小規模噴火したが、当然、因果関係があると考えるべきである。熊本から離れた地域でも、中央構造線上の地域では、連動する大規模地震の発生を警戒するべきである。とりわけ、愛媛県の伊方原発と鹿児島県の川内原発は、この中央構造線上、あるいは、間近に立地しており、特段の警戒が求められる。

 私たちは地図で位置を確認するから、九州と四国、本州を別のものと勘違いしてしまいやすい。しかし、離れているのは陸地の低いところに水が集まって、これが「海」と呼ばれているからだ。しかし、この水たまりを除外して考えれば、全部つながっている。そのつながっている地球の表面に亀裂が走っている。これが「断層」と呼ばれるもので、この「断層」が時折ずれる。この「ずれ」が地震である。

 九州の八代湾から大分湾にかけて断層が走り、この断層が四国北部を西南西から東北東に通過し、さらに淡路、京都につながっている。九州の川内原発のあたり、愛媛県の伊方原発あたりで、大地震が発生する可能性は十分にある。

 4月14日の地震で観測された地震加速度は、昨日記事に記述したように、今回の地震による揺れの強さは、1580ガルだった。この地震動は、九州電力川内原発の耐震性能基準規制値620ガルをはるかに上回る。四国電力伊方原発の耐震性能基準は570ガルである。福島の原発事故を受けて、規制基準は厳格化された。これを安倍政権は「世界でもっとも厳しい規制基準」だと自画自賛しているが、今回のM6.5の地震によって観測された1580ガルの揺れをはるかに下回る。これで「安全」などと言うならおへそでお茶が沸く。

 川内原発は直ちに運転を中止するべきだ

※続きは4月16日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1411号「災害政治利用現地視察より川内原発運転停止命令」で。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』

 

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