2024年03月28日( 木 )

元「鉄人」衣笠氏が斬る!~始まります

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baseball2 日本シリーズのカードが決まった。広島東洋カープ対北海道日本ハムファイターズ、これまでの日本シリーズでは見られなかった遠距離シリーズとなる。広島と北海道ですから、一昔前では考えられない組み合わせだ。地球のお天気も変になるか?少し大げさかな?
 今回の日本シリーズはとても楽しみなカードとなった。どちらが先にシリーズの「勢い」をつかむか?若さがあふれる、すばらしいチーム同士の戦いが見られることと思う。

 広島カープは今季メンバーを固定できるようになり、それぞれの役割が明確になりつつあって私の理想とするチームに少しずつ近づいている。対する日本ハムは、メンバーは同じなのだが、打順を監督がその時の投手、試合相手によってかなり動かすことがあるチームとの印象が強く感じられる。

 この2つのチームに共通しているのが「若さ」を感じるということ。なぜかカープ、ファイターズに、私はいつも若さを感じる。その理由を考えていくと共通しているのが「スピード」。これではないかと思い至った。
 セ・パ両リーグを見て行くとセ・リーグの広島は盗塁数が118でトップ。2位はヤクルトで82だが、この中の30が山田選手だから、ヤクルトはチームとしての盗塁数がいかに少ないかわかっていただけると思う。
 パ・リーグでは日本ハムの盗塁数が132。2位のチームはソフトバンクの107で、やはり飛びけてスピードを生かした戦いをしてきたということが見える。

 広島の切り込み隊の田中選手、菊池選手、丸選手の盗塁数を見てみると田中選手が28、菊池選手が13、丸選手が23で、どこからでも走れることを証明している。日本ハムは、もっとすごい数字で、1番の西川選手は41、中島選手が23、本来なら3番の田中選手が22。投手は恐怖を感じることになるだろう。
 この盗塁数が私に若さを感じさせてくれる大きな要因で、この両チームの戦いにスピードは欠かせない要素になってくると思う。そして、スピードあふれる緊張した戦いが展開されることを期待している。

 両チームの投手陣を見ていこう。広島は、やはりジョンソン投手、野村投手、黒田投手は間違いないところで、問題は順番かなと思う。過去の日本シリーズを制した監督さんには1戦目、3戦目、5戦目、7戦目、を取る作戦、または、2戦目、4戦目、6戦目、7戦目。という作戦の監督さんもいらっしゃったが、最近はあまりこのようなことを言う監督さんは見られなくなった。1戦目から1つずつ勝ち取るということを考えて戦う姿が多いように思う。そう考えると広島の第1戦目は相手打線の並びに左が多いということを考えるとジョンソン、そして野村投手が2戦目、札幌で黒田投手というところに落ち着くのかな、それとも1、2戦の戦いいかんによっては3戦目に福井投手、もしくは岡田投手というところを使い、4戦目に黒田投手という手を打つか。黒田投手は1試合のみの登板と思うだけにコンデションのいいところで使いたいと考えていると思う。4戦目に岡田投手、5戦目に福井投手と続き6戦目は広島でジョンソン投手、最後が野村投手で締めるということで先発投手陣は決まるのではないか。
 中継ぎを見ると今村投手、ジャクソン投手。そして中崎投手が抑え、このパターンは変わらないと思います。問題は早い回で先発が崩れた時の対応で、大瀬良投手、一岡投手、九里投手のできはどうかという点と、緊張した試合が続くだけに中崎投手の疲労の心配という点にある。

 対する日本ハム投手陣。日本ハムは投手陣が難しいチームという印象がある。シーズン初めのメンバーと今のメンバーが同じではないということがまずある。大谷投手、有原投手がいて、メンドーサ投手がもう一つ調子が上がっていない。バース投手はリリーフと共有、吉川投手はリリーフに回り、若い高梨投手、増井投手、加藤投手という投手を先発で使い始めている。そして、CS最後の試合では大谷投手を抑えに指名、文句なく完璧に抑えての日本シリーズ出場を決めた試合があった。これで、またわからなくなってしまった。投手の使い方が複雑な日本ハム。本当に難しいチームだ。
 CSのメンバーを見ると増井投手、高梨投手、加藤投手を先発で起用、大谷投手、有原投手とメンバーを組んで先発陣を固めて、リリーフに谷元投手、宮西投手、石井投手、バース投手、マーティン投手が勝ちパターンの投手で、負けている試合展開の時には鍵谷投手、白村投手、井口投手というところを使って試合を持ちこたえていた。最近、マーティン投手が故障したということで、少し変化が見られることになると思う。

 打線は日本ハムも広島も同じように強力に感じられる。日本ハムの中田選手、レアード選手の長打は本物だし、ときどき見せる陽選手の狙い撃ちも油断できない。シーズン後半から出てきた岡選手はパンチのある選手だし、何より大谷という打者は素晴らしい才能の持ち主。そして、この打者・大谷が打つとチームは乗ってくるという感じが今年はするだけに、ポイントになるバッターだと思う。

 広島のエルドレッド選手は間違いなく札幌ドームでも長打が期待できる。その次は鈴木選手かな。広島の球場より少し飛距離が必要なだけに、長打の面では球場に慣れている日本ハムが有利かも知れない。広島の打者は広い球場だから「力む」という点には気をつけたい。力んでも、力まなくても、飛距離は変わらないということを心に刻み込んで試合に臨んでほしい。

 どちらが早く4勝を記録するか、これが日本シリーズ。1試合勝ったからといっても勝利ではない、4回勝たなければいけないということをしっかりと頭に叩き込んで戦いのグランドに立ってほしい。
 25年ぶりに戦いの場に帰ってきた広島東洋カープがどんな戦いを見せてくれるか、日本ハムがどんな野球をするのだろうか。いずれにしても今年のプロ野球の最後の戦いだ。思い残すことのないように自分の力を信じた、チームを信じた、監督を信じた戦いを見せてくれることを祈っている。

2016年10月18日
衣笠 祥雄

 

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