2024年04月20日( 土 )

経営を何かにたとえてみれば

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office02min 「経営とは何なのか」――ふとこんな根源的な疑問に考えをめぐらす瞬間がある。経営者によって、考えは十人十色だ。

 仕事柄、経営者の声を直に聞くことができる。それが、この仕事の特権だ。なかには、こんな印象深い話を聞く機会にも恵まれる。ある経営者と対話していた時のこと。その経営者は話の冒頭、このように切り出した。

 「経営でも、何でも世の中に存在するものは、自然の摂理と同じである」。これまで聞いたことのなかった論理に、思わず聞き入ってしまった。説明が続いた。「経営とは一本の木にたとえることができる。木の幹を企業そのものだとしたら、吸い上げる水は収益。吸い上げた水=収益によって実る葉は利益だという。水が少なければ、葉は減少し、幹である企業は衰退していく。幹を支える土がしっかりしていなければ、幹である企業はいずれ傾いてしまう。企業という幹をいかに太く大きくしていくのかが経営なんだ」。

 ここで1つの疑問が浮かんだ。「幹を支える土台がしっかりしていなければ、幹である企業は傾いてしまう」と言うが、幹を支える土とは具体的には何なのだろうか。筆者なりの解釈ではあるが、幹を支える土台とは、「信頼」なのではないだろうか。消費者、取引先、社員、同業者など、経営に関わるすべての信頼が経営の土台となり、企業を揺るぎないものへとしていくのだと、おそらくこの経営者もそう答えるだろう。目に見えないものこそ、大切にしなければならない。新年を前に、今一度2016年を振り返ってみようと思う。

【東城 洋平】

 

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