2024年04月19日( 金 )

市街化調整区域で宿泊・飲食施設の開発許可がおりやすくなる?

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 12月27日、国交省が開発許可制度運用指針の一部改正を発表した。
 改正内容は、市街化調整区域における既存建築物の用途の変更。以下の用途の場合、地域の実情に応じて柔軟に許可が受けられるよう、開発許可制度運用指針を一部改正するというものだ。

「対象となる用途類型」
(1) 観光振興のために必要な宿泊、飲食等の提供の用に供する施設
 現に存在する古民家等の建築物自体やその周辺の自然環境・農林業の営みを、地域資源として観光振興に活用するため、当該既存建築物を宿泊施設や飲食店等に用途変更する場合

(2) 既存集落の維持のために必要な賃貸住宅等
既存集落においてコミュニティや住民の生活水準の維持を図るため、当該集落に存する既存建物を、移住・定住促進を図るための賃貸住宅、高齢者等の福祉増進を図るためのグループホーム等に用途変更する場合

 この改正の背景には、市街化調整区域における人口減少・高齢化の進行にともなって空き家が数多く生じ、集落におけるコミュニティ維持が困難となるなど地域活力の低下につながっているという実情がある。空き家となった古民家や住宅などを地域資源ととらえ、観光振興や集落の維持のために活用したいという声に応えたかたちだ。
 現在の都市計画法では、市街化調整区域内での飲食店や宿泊施設の開発が制限されており、既存建築物を用途変更する場合でも都道府県知事の許可が必要となる。
今回の改正によって許可の運用がフレキシブルになり、用途変更許可が得られやすくなるだろう。

 国交省都市計画課の担当者によれば、「対象となる用途類型に当てはまっていれば必ずしも許可を受けられるという意味ではありません。あくまで『国は推進します』という立場なので、最終的には地方自治体が判断することとなります。ですが、国が推進しているため、許可が得られやすくなる可能性はあります」と話す。

 以前よりも用途変更の許可を得られる地域が増えることが期待できる。賃貸住宅・老人ホームなどを開発する不動産各社にとっては、営業先の選択肢が増えるかもしれない。

【奥 隆司】

 

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