2024年04月21日( 日 )

公的補助の充実が、出生数減少を食い止める近道である

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kodomo 厚労省の2016年人口動態調査の推計によれば、16年生まれの子どもの数が98~99万人となる見通しだ。1899年の統計開始以降、初めて出生数が100万人を割り込むことになる。少子化が進行していることを改めて浮き彫りにした。

 原因は明確だ。人口が多い第2次ベビーブーム世代、1971~74年生まれのいわゆる「団塊ジュニア世代」が40代に差しかかり、出産がひと段落ついたためだ。20~30代の女性の数が減っている影響も多い。16年10月時点での人口推計で、この世代の女性は1,366万人で10年前と比べて2割減となっている。
 また、15年の平均初婚年齢は、男性が31.1歳、女性が29.4歳だった。初婚の年齢が上がると、第1子はまだしも、2人目以降の出産が減るのは当然だ。そこに、さらに子育てにかかる経済的負担がのしかかる。たとえば、日本では児童手当が支給されるのは15歳までだが、EUの多くの国で18歳まで。子育て支援が手厚いフランスでは20歳まで支給される。教育機関に在学中であれば20歳以上でも支給される国もある。
 少子化が叫ばれて久しいが、日本は「子どもを産み・育てること」に対しての公的補助が十分とはいえないのである。

 筆者はまさに団塊ジュニア世代であるが、この世代は同時にバブル崩壊直後の就職氷河期世代でもある。思うように就職できず、経済的に厳しい状況にある者も少なくなかった。また、20~30代のころは不況の真っ只中で、子どもが欲しいのに経済的な理由で出産を選択できない家庭も見てきた。これが第3次ベビーブームが起きなかった原因であろう。出生数は自然に回復するものではない。根本的解決とはならないだろうが、政府主導での公的な子育て支援を充実させることが、解決への最初の一歩となるだろう。

【犬童 範亮】

 

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