2024年04月17日( 水 )

中国経済新聞に学ぶ~在日中国人女性が帰国したがらない理由とは(前)

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 「在日中国人女性が帰国したがらない理由とは?」という文章がSNSで何度も転載されている。この文章では日本における居住条件を色々と褒めそやしているが、具体的なデータは示されていないため、これらの内容は先入観を植え付ける可能性もあるだろう。本当に知りたいのは在日中国人の本当の生活環境や、なぜ彼または彼女が日本での生活を選ぶのかということだ。そこで、東京にいる記者が得たデータや、在日中国人女性にインタビューした内容から、その答えを探ってみる。

 総務省の統計によると、2015年6月時点で、中・長期的に日本に滞在する中国人は合計約65万6400人で、在日外国人全体で最も多い。在日中国人の男女比は43:57で、20歳以上の在日中国人の場合も、男性より女性が多い。その他国の在日外国人は男性の比率が多いことと比較すると、在日中国人は20代・30代の女性の割合がより高く、より若くてエネルギーに満ちあふれている。

 在日中国人の姜さんは、「長年日本で生活しているが、ほとんどの中国人女性が喜んで日本に留まっているようには見えない。ニューメディアによってたくさんの情報が発言される時代となり、少数の例がまるで普遍的な現象のようにみなされやすくなった。私が知っている例を挙げると、日本で結婚して子供もできたので、日本に残るしかないという人が何人かいる」と指摘した。

 在日中国大使館の許澤友前総領事にインタビューを行ったところ、「実のところ、日本社会は排他的で、今も昔も在日中国人は苦労を強いられている。日本では大規模な中国排斥までとはいかないが、中国人も不公平な扱いを受けている。例えば、賃貸契約の際の複雑な手続きや、家賃の高さ、欧米出張用のビザ申請がたまに拒否されるなどだ」とした。

 日本に滞在している中国人女性によると、もともと長期滞在するつもりはなかったのだが、結局日本に留まることになったという人々も一部いるようだ。

中国の同年代の人との競争に勝てなくなるのが怖かった

 大学院を卒業したばかりの在日中国人の甘さんは、「日本に来た当初は、卒業後に帰国するつもりだった。しかし日本に長く住んでいるうちに、永住権を取得したくなった。帰国したくないというわけではなく、帰国してから中国の同年代の人との競争に勝てなくなるのが怖かったからだ。日本で語学学校だけでも2年かかり、同年代の人と比べて職務経験はかなり乏しくなってしまった。もし永住権を取得できたら、中国でうまくいかなくても、また日本に戻るという手段がある」とした。

 甘さんはさらに、「周りの友だちの多くは一人っ子で、両親は中国国内。日本での生活はとても居心地がいいが、両親の老後を考えると、帰国しなくてはならない。だからほとんどの人が自分への保険をかける気持ちで永住権を取得しようとしているのだと思う」とした。

(つづく)


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