流通パニック、危機水域へ。ヤマト運輸労組、荷受量抑制を要望
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宅配便最大手のヤマト運輸の労働組合は、2017年の春闘で宅配便の荷受量抑制を求めた。宅配ドライバーの人手不足やアマゾンをはじめとする通販市場が拡大したため、ヤマト運輸など物流各社には大きな負担がかかっている。主に問題となっているのが、荷物の量の純粋な増加と、再配達・時間指定配達などのサービスがドライバーにかかる負担だ。15年には、国土交通省の検討会が宅配便の再配達による社会的損失は「年約42万トンのCO2(山手線の内側の2.5倍の面積のスギ林の年間の吸収量に相当)」「年間約1.8億時間・年約9万人分の労働力」に相当するという報告書を発表している。
かつて宅配便ドライバーは働けば働くほど稼げる歩合制職業の花形で、ベンチャー企業経営者の立志伝には「S急便のドライバーとして3年間寝る間も惜しんで働き、起業資金を貯めた」という表現を見たものだ。近年は流通コストの引き下げ圧力がドライバーの人件費にもおよび、以前の高収入職というイメージは一変している。増え続ける荷物の影響で、ドライバーのみならず内勤の荷物仕分けスタッフも過剰労働に直面している。
長引くデフレ環境下で流通を含めたあらゆる場面でのコストカットが進み、そのしわ寄せは人件費を直撃している。一方で要求されるサービスのレベルは天井知らずで上がっていくとなれば、どこかにひずみが出るのは当然だ。今回のヤマト運輸労組の動きに会社側がどう対応するか、そして流通各社が追随するかどうかで日本の宅配便事情は大きく変わるのは間違いない。
【深水 央】
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