2024年03月19日( 火 )

『ハゲタカ利益の成長』が目的の『成長戦略』

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、トランプ米大統領の拒否でとん挫したかに見えるTPPについて、その再発動を画策する勢力について取り上げた、2月22日付の記事を紹介する。


米国のトランプ大統領が公約通り、大統領就任初日にTPPからの離脱を宣言し、大統領令にも署名した。米国が批准しなければTPPは発効しない。
TPPの漂流は確実になった。
しかし、このTPPを復活させようと企む勢力が存在することには十分な警戒が必要だ。TPPは死んだが、浮遊霊がまださまよっている。この浮遊霊を除霊し、TPPを完全に成仏させなければならない。

トランプ大統領の翻意を願う。米国抜きでTPPを発効させる。

さまざまな策謀がうごめくが、安倍首相は国会答弁でTPP合意案の見直しをしないことを明言しており、米国抜きのTPP発効は不可能である。
米国抜きでTPPを発効させるには合意文書の修正が必要になるからだ。

TPPとは、「ハゲタカのハゲタカによるハゲタカのための条約」である。それにもかかわらず、安倍首相がTPPを推進しているのは、安倍首相が日本国民の利益ではなく、ハゲタカの利益を優先しているからに他ならない。「国民ファースト」でなく「ハゲタカファースト」なのである。

「TPPを批准させない!全国共同行動」「TPPを発効させない!全国共同行動」
は、TPPを阻止するために地道な、しかし、懸命の活動を続けてきた。
TPPが漂流することになったのは、トランプ大統領の行動が直接の原因だが、市民と一部の心ある政党と国会議員の共同行動が、世論の関心を喚起することに効果を上げた成果でもある。

TPPが漂流することは極めて望ましいことだが、安倍政権が国民の利益ではなく、ハゲタカの利益を最優先している以上、油断は禁物である。

ハゲタカとは強欲な巨大資本、多国籍企業のことである。米国のトランプ大統領がメディアの総攻撃を受け続けているのは、トランプ大統領が「ハゲタカファースト」ではなく「米国国民ファースト」の方針を掲げているからである。
TPPはハゲタカが縦横無尽にアジア太平洋市場から収奪するための「最終兵器・最強兵器」だった。この史上空前のご馳走の準備が完了したところで、トランプ大統領が登場して、ちゃぶ台返しをした。これが、トランプ大統領が総攻撃を受け続けている主因である。

ヒラリー・クリントンのTPP反対はフェイクだった。1年ほどして、TPPの内容を一部修正して、ヒラリーはTPP承認に進むことになっていた。だから、ハゲタカ巨大資本はいかなる手段を用いてでもヒラリーを勝たせようとした。しかし、米国民はトランプ氏を新大統領に選出し、そのトランプ氏がTPPからの離脱を断行したのである。

TPPが漂流し、TPPが直ちに発効される恐れは低下したが、油断することはできない。
なぜなら、安倍首相は日本の主権者の利益ではなく、ハゲタカの利益を優先しているからだ。TPPは外から、日本市場をハゲタカに提供することを強制する枠組みだだが、日本市場をハゲタカに提供する枠組みが、これだけではないことに注意が必要である。

「アベノミクス」の主軸である「成長戦略」こそ、日本の内側から、日本市場をハゲタカに提供するための枠組みなのである。その具体的政策を取りまとめているのが規制改革推進会議である。「成長戦略」という美名に惑わされてはならない。安倍政権の「成長戦略」とは「ハゲタカの利益の成長」戦略であって、「国民の利益の成長」戦略ではないからだ。

そして、いま、私たちの目の前に、三つの重大な危機が迫っている。

日米FTA
主要農作物種子法廃止
水道法改定

である。
「TPPを発効させない!全国共同行動」は3月15日(水)午後3時から午後5時の日程で上記三問題に関する学習会を国会議員会館内で開催する予定である。まずは、問題の所在を確認しなければならない。敵は外にだけ存在するのでない。内側に潜む敵こそ、最大の脅威なのである。

※続きは2月22日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1674号「『ハゲタカ利益の成長』が目的の『成長戦略』」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

 

 

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