2024年04月23日( 火 )

下関市長選「安倍VS林」の代理戦争~「一強」の首相に追い風

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 「安倍VS林」の代理戦争といわれる下関市長選は3月5日に告示、12日に投開票が行われた。1週間の選挙戦を制したのは、安倍首相の元秘書で前市議の前田晋太郎氏(40歳)だった。
 3選を目指した林派の中尾友昭市長は、自民党の公認争いで敗れたのに続き、選挙戦でも敗北することになった。

 2009年2月、江島絜下関市長(現・参議院議員/自民党細田派)が5戦不出馬を表明。翌3月の下関市長選に立候補したのは、林派の中尾友昭氏と安倍派の友田有氏だったが、中尾氏が接戦を制して当選。その4年後の2013年3月、安倍派は巻き返しを図るため、若手の西本健治郎(36歳/前市議)を擁立したが、大差で敗北した。

 国会では「一強」の安倍首相ではあるが、地元市長戦では意のままにならない状況が続いていた。安倍派としては何が何でも中尾氏の三選阻止を図るため、刺客として送り込んだのが、安倍首相の秘書(在7年4カ月)の前田氏だった。

 無位無官の林芳正参議院議員が応援する現職の中尾友昭氏。一方、森友学園や第2の森友疑惑(今治市の岡山理科大獣医学部の国有地の無償譲渡)が浮上するなど、安倍首相を取り巻く環境が厳しいなか、地元市長戦で勝利したのは前田氏だった。この勝利は国政において大きな援護射撃となりそうだ。
 また失政が続く高島宗一郎福岡市長にとっても、前田氏の応援に駆け付けたことから安倍首相の覚えめでたきを得て、国政への大きな足掛かりをつかんだと言えよう。
 自民党は党総裁任期を今の「連続2期6年」から「連続3期9年」に延長する案を決定した。

 12年9月に総裁に返り咲いた安倍晋三首相は15年9月に再選され、18年9月に2期目が満了する。党則改正が党大会で承認され次期総裁選に勝利すれば、21年9月まで長期政権が続くことになる。今回の市長選の勝利は、地元での足固めだけではなく、長期政権を維持するための大きな布石を築いたとの見方が有力だ。

 地元では、「安倍VS林」の戦いはまだまだ続くと見ているが、安倍首相が林芳正氏にそのポストを禅譲すれば、再び保守が一本化され、初代首相の伊藤博文公以上の評価を得られるのではないかと期待を寄せる声が出ているという。歴史上の人物としてその名を留めることができるかどうか。安倍首相の度量が問われているのではないだろうか。

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

 

関連記事