2024年04月19日( 金 )

1万円の母子手当、3万円の母子手当

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 ある知人の話である。仮にA子・B子と呼ぶ。

 A子はシングルマザーだ。午前中は自身が経営する店を切り盛りし、夜は飲食店でアルバイトとして働いている。生活のため、何より3歳になる息子を養育するために休む暇もないという。
そんなA子に支給される児童扶養手当(以下、母子手当)は月約1万円だ。

 内縁の夫ともに暮らすB子は3歳になる娘を持つ母親だ。
 B子は病院で働いている。シフトに夜勤を入れないと給与は手取りで月13万円程度だというが、B子は月に1回、多くても2回しか夜勤はしない。理由は、所得が増えれば給付される母子手当の金額が減ってしまうからだ。籍を入れていないのは、母子手当を得るため。そんなB子に支給される母子手当は月約3万円だ。

 息子のために働き詰めた結果、母子手当の給付額が最低限度額(9,990円)に近いA子。家庭の在り方や、職場での働き方を調整することで3万円の母子手当を得ているB子。給付額だけ見れば、シングルマザーとして真面目に働いているA子がふびんに感じられる。
 両親が離婚するなどして、一方からしか養育を受けられない一人親の児童のために始まった母子手当。その給付のルールは見直しが必要かも知れない。

【島野 元太郎】

▼関連リンク
・母子手当の現実「受給者を信じるしかない」

 

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