2024年04月26日( 金 )

スポーツ学部に強み見せるも、経済学部は定員割れ続く(後)

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九州共立大学

高い実績を有する九州女子大

 福原学園が運営する九州女子大学は2学部3学科。共立大より3年早い1962年に開校している。人気の高い栄養学科では管理栄養士などの資格を取得でき、卒業生の就職先には大手企業や医療機関がズラリと並ぶ。人間発達学科の学年定員は190名。このうち17年度の小学校・特別支援学校の合格者は40名に上る。「不利な立地条件」(卒業生保護者)を克服し、福岡市からでも通学する学生を生み出すブランド力を構築している。卒業生の進路に直結する特色ある学科を提供することができれば、学生や保護者の方が見逃さないということを実証している。

求められるグループ力活用

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 こうしたなかで注目されるのが自由ケ丘高校の存在だ。14年に八幡西高校と女子大付属の女子高を統合して設立した。過去には商業科や看護科があったが、現在は普通科に集約している。九州共立大学同様にスポーツに力を入れ、春、夏高校野球甲子園大会に出場した経験がある。生徒数は約1,300名。共立大学の定員は2,600名なため、自由ケ丘高校からの内部進学生が増えれば、それだけ定員確保を見通しやすくなる。連携を深めて、少しでも囲い込みをしたいところだ。また、同校はスーパー特進など進学クラスを設置。学業面でも優秀な学生の確保へ向けた取り組みも実施している。グループの裾野の拡大に努めていくなかで、付属高校の活用法がヒントになりそうだ。また、運営する幼稚園で保護者の信頼を確保できれば、その先の進学へも期待できるが、グループで小・中学校を保有せず、9年間は他の教育機関に委ねることになるため、大学までのルートを作り上げることは難しい。
 強みを磨き上げる共立大学のスポーツ学部と女子大学の取り組みは、少子化傾向の時代においての可能性を示している。一見、後ろ向きに見える廃科による定員削減もターゲット絞り込みには有効だ。しかし、16年度の経済学部の入学者数は定員400名に対して327名と、スポーツ学部との明暗がはっきりと分かれた。スポーツで知名度を高めても、他学部まで波及させることは困難な時代に入ってきたということだ。
 長きに渡る人材育成で、世に送り出した卒業生は10万人を超える。北九州エリアでの影響力は相応に見込まれる。
 少子化問題が深刻化するなか、新たな特色や他学校法人との提携など、柔軟な取り組みが求められる。

(了)

【鹿島 譲二】

<INFORMATION>
学 長:奥田 俊博
所在地:北九州市八幡西区自由ケ丘1-8
設 立:1965年4月
基本金:550億3,656万円
教育活動収入:(16/3)67億1,059万円(福原学園)

 
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