2024年04月25日( 木 )

東京新市場は築地再整備で決着を図るべきだ

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、森友問題と豊洲市場問題について、官有財産をどう扱うべきか、そしてこれらの問題に潜むものは何かという視点から鋭く切り込んだ、4月11日付の記事を紹介する。


西の豊中、東の豊洲。
古くは北海道開拓使官有物払い下げ事件というものがある。すべてに共通することは、国有財産が不当に低い価格で払い下げられたり、民有地が不当に高い価格で買い入れられたりしたということだ。

豊中の国有地8770平米は鑑定評価額9億5,600万円が1億3,400万円で払い下げられた。隣接する国有地9492平米は、2011年3月10日に国から豊中市に14億2,300万円で売却された。地下埋設物が発見されたというが、地下3メートルまでの埋設物と土壌汚染については、国が1億3,176万円を支払って処理済みなのである。

地下の深い部分から埋設物が発見されたと言っても、土地の過去の形状をたどれば、地下深くに埋設物があって問題になる箇所は、敷地全体のごく一部でしかない。したがって、8億1,974万円の値引きは正当な根拠を持たない。財務省は、このような計算でこの金額を算出したと説明しているだけで、その値引きが正当であることを立証していない。
国有地不正売却問題の真相を明らかにして、不正売買を行った責任を適正に問わなければならない。

これに対して、豊洲の土地は、東京都が不当に高い価格で買い取ったものである。豊洲汚染地の売買が行われたのは2011年3月。1,859億円が東京都から東京ガスおよび関連会社に支払われた。しかし、「汚染地」であるから「汚染対策」が必要になる。東京ガスは汚染対策費の100億円と追加費用負担78億円を支払った。しかし、汚染対策はこの金額では実現せず、東京都がさらに849億円も投入した。土壌汚染が深刻な土地を東京都が購入する際に、土壌汚染の処理費用を十分に価格に反映させなかった。汚染地を不当に高い価格で買い取った責任を明らかにする必要がある。

築地から豊洲への移転の不透明性は、単に豊洲の汚染地が高額で買い取られたことに留まらない。築地市場を閉鎖して、この地をビジネス街に転換することに伴う「利権」が大きいことを見落とせない。「築地」の「市場」が消滅して、「築地」が「ビジネスセンター」として「汐留」と合体すれば、「汐留・築地地区」が「巨大ビジネスセンター」として価値が激増する。

この「利権」を念頭に置いて築地市場閉鎖の力学が働き続けていることを見落とせない。また、築地の移転に反対していた業者が移転賛成に回った経緯にも注目が必要である。石原慎太郎都知事が推進した「新銀行東京」がこの問題に絡んでいる。

7月2日の都議会選挙に向けて、築地・豊洲問題に焦点が当てられている。豊洲の土壌は汚染されているが、コンクリートで遮蔽しているから「安全」だとする見解が強調され、豊洲移転を推進する力が強く働き始めている。しかし、小池都知事は豊洲移転を安易に決定するべきでない。市場は築地改修の方向で進むべきだ。

理由は三つある。

※続きは4月11日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1714号「東京新市場は築地再整備で決着を図るべきだ」で。


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