2024年04月19日( 金 )

小椋事務所、エイベックスと真っ向勝負

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 映画「ピストルオペラ」や「下妻物語」などのプロデューサーとして相応の知名度を有する小椋悟氏。同氏が代表を務める(株)小椋事務所(本社:東京都渋谷区)は、1989年12月設立の映像企画・制作業者。小椋代表の知名度を生かし、映画やTVドラマなど、多岐にわたる映像作品の企画・制作を手がけていた。とくに、先述の映画「ピストルオペラ」はヴェネチア国際映画祭をはじめ、多くの国際映画祭で招待作品として公開された。また、2004年に日本で公開された「下妻物語」は、カンヌJr.フェスティバル(青少年向け映画のコンペ)において邦画では初となるグランプリを獲得した。
ヒット作品にも恵まれ、同社は09年4月期には約4億3,000万円の売上高を計上していた。

 しかし、17年1月、同社は債権者によって東京地裁に破産手続きの開始を申請され、6月15日、同地裁より破産手続開始決定を受けた。小椋代表は破産に至った一因として、エイベックス・デジタル(株)(本社:東京都港区、若泉久央代表)との間で生じた、WEB配信映画「GEEK(仮題)」の製作責任を巡る問題をあげる。
 小椋代表の弁によれば、映画「GEEK(仮題)」は、エイベックス・デジタルが出資・製作する作品。原作・脚本・監督を手がけるのは映画「ニューシネマ・パラダイス」などで世界にその名を知られるジュゼッペ・トルナトーレ監督。本作品は劇場公開作品ではなく、WEB配信用長編映画(約90分)として計画されていた。また、本作品は日本人出演者、日本が舞台(一部イタリア撮影)で、13年夏より小椋事務所の企画として実質的な製作スタートを切っていた。

 ところが、エイベックス・デジタルは当初の予定にはない要求を突きつけてきたという。例として、イタリア撮影の強要、出演者の指定、4K解像度での撮影・編集・納品などがあったと小椋代表は述べている。
 こうした理由が重なったことで、16年3月、同社並びにエイベックス・デジタル関係者、監督並びに関係者全員合意のうえ、本作品の撮影は一旦停止することになった。撮影再開にむけて小椋事務所は準備を進めていたが、エイベックス・デジタルの態度に変化があらわれる。それまで支払われていた製作費の全額返金と、今後製作を継続する場合の製作費全額負担を小椋事務所に要求してきたというのだ。

 小椋代表は現在、エイベックス・デジタルの行為には下請法違反、独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会に対して相談を行っており、今後は破産を覆すべく争っていくとしている。
この件に関してエイベックスグループに真偽を問い合わせたが、23日現在返答はまだない。(詳細はコチラ

【代 源太朗】

 

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