2024年04月19日( 金 )

終わらない破産事件 疑惑噴出した債権者集会

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 2016年8月に破産開始決定を受けた三州電通工業(株)(本社:鹿児島市谷山港、前田直人代表)の第3回債権者集会が6月23日、鹿児島地裁で開催された。

 破産に至った経緯や2回目までの債権者集会については、既報の通りだ。疑問符の付く破産事件に、長年取引を続けていた協力業者は納得がいかない。これまでの債権者集会では、債権者となった取引先が前田代表に対し、詰め寄る場面もあったという。

 第3回目となった今回、会社経営上あってはならない、新たな疑惑が浮上してきた。

 その疑惑とは、会社が負担すべき厚生年金保険料の虚偽申告である。雇用していた社員に対して、会社が半分負担することになっている厚生年金保険料が明らかに少ないことが、その後再就職した社員の訴えで判明している。

 たとえ一人でも責任は大きいが、複数の社員について明らかとなっているという。会社は支給していた給与を少なく見せ、納付額が少なくなるようにしたとみられる。現金を残したいがための手段なのはわかるが、これは社員の何十年も先の年金支給額に影響が出てくる重大なもの。個人なら遡って納付も可能だが、破産となってしまった以上、修正することは難しいだろう。

 債権者の不信感がさらに強まったのは言うまでもない。昨年8月に破産開始決定が降りて、間もなく1年が経過する。3回目の債権者集会でも新たな疑惑が判明し、次回債権者集会は10月と決まった。一連の破産事件の終わりはまだまだ見えてこない。

【東城 洋平】

▼関連リンク
・名門はなぜ破綻に至ったのか(1)~鹿児島の通信工事、三州電通工業

 

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