2024年04月17日( 水 )

中国返還20年を迎えた香港の行方(前)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、6月2日付の記事を紹介する。


 この7月1日、香港では中国への返還20周年を記念する式典が盛大に催された。国家主席としては初の香港訪問を行った習近平氏は新たに選出された香港の行政長官の就任式にも出席した。習近平氏は内外に向けた演説を行い、「一国二制度」の意義と成功を強調しつつ、「統治権はあくまで中国が持つ」と繰り返した。曰く「中央の権力や香港基本法の権威に対するいかなる挑戦も絶対に許さない」。
 直前には中国外交部の報道官が「中国と英国との間で結ばれた香港返還合意の内容は既に実質的な意味を失った」という趣旨の発言をしたため、香港では民主化を求める集会やデモが繰り広げられることになった。香港大学の調査では香港の住民の6割は「一国二制度」に信頼を寄せているとのこと。中国本土が敢えて香港市民の不安を煽るような発言を行うことはマイナスだろう。2014年に発生した「雨傘運動」に見られたように、民主化を求める香港市民の反中意識に火に油を注ぐことになるだけだ。
 今回、習近平国家主席の滞在するホテルの周辺は厳戒態勢が敷かれた。高さ2メートルの大型柵が数百メートルにわたり張り巡らされ、デモ隊や一般住民が近づかないような警備となった。夫人を伴って到着した習近平主席は記念式典で中国本土との一体感を訴え、数百人の音楽隊や花形歌手による「祖国愛」にちなんだ歌や踊りで20周年を盛り上げた。香港の若い世代に広がる「中国離れ」を意識してのことだろう。
 更には、中国初の空母「遼寧」が1週間後には香港に寄港すると発表。必要があれば、いつでも軍事力を行使するとの威嚇に他ならず、中国の最高権力者は有無を言わせぬ強硬姿勢も見せている。そのせいか、香港の新行政長官は公用語の広東語ではなく、北京語で宣誓式に臨んだ。
 この度の返還祝賀式典に先立ち、筆者は香港を訪問した。多少の不安感もあったが、現地に立つと、香港は相変わらずエネルギーに満ちていることを確認できた。お隣の深圳に自由貿易特区の座を譲ったとか、上海やシンガポールに国際金融センターの冠を奪われたとか、いろいろと言われているが、どっこい踏ん張っているのが香港だ。

※続きは6月2日のメルマガ版「世界最新トレンドとビジネスチャンス」第71回「中国返還20年を迎えた香港の行方(前編)」で。


著者:浜田和幸
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