2024年04月18日( 木 )

狂人?それとも天才?金正恩の真の実力(前編)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、8月18日付の記事を紹介する。


 北朝鮮の金正恩による「グアムへの弾道ミサイル発射も辞さない」という脅しに世界が釘付けになった。アメリカのトランプ大統領も、北朝鮮に対し「かつてないような炎と怒りをぶつける」とか「臨戦態勢にある」など強硬姿勢で応じた。いわば、双方とも「言葉のミサイル」をぶつけ合ったようなものだ。その都度、内外の株価は上下し、避難訓練に拍車がかかった。

 結果的には、金正恩が「アメリカの行動をもう少し見守る」と発言し、発射を控えたため、トランプ大統領も「金正恩は非常に賢明で、筋の通った選択をした」と態度を一変。当面、戦争の危機は避けられたようだ。とはいえ、その背景には北朝鮮の動きより、バージニア州で発生した白人至上主義者による暴挙への対応を優先させざるを得なくなったトランプ政権の「足元のふらつきぶり」が影響した観が否めない。

 そもそも、アメリカ軍は北朝鮮と戦争に臨むような準備をまったくしていなかった。8月21日から米韓合同軍事演習が実施されるが、これは以前から予定されていたもの。北朝鮮のグアム攻撃発言に対応したものではない。その意味では、トランプ大統領による「臨戦態勢」発言は口先だけの実態のともなわないものであった。第一、米空母のカール・ビンソンもロナルド・レーガンも6月に朝鮮半島近海から退去したままだ。

 要は、アメリカも北朝鮮も本音では戦争を望んでいないのである。では、「戦争も辞さない」とする過激な発言を双方が繰り返した背景は何なのか。この点を抑えておかなければ、米朝関係の表面的な対立志向に翻弄されるだけで終わってしまう。実は、「北朝鮮の核ミサイル開発によって一番得をしているのは誰か」ということを冷静に判断する必要がある。

 もちろん、最も得をしているのは北朝鮮だ。アメリカへの抑止力を確保したうえで、韓国や中国に対しても強い立場で交渉できるカードを手に入れたといえるからだ。北朝鮮のミサイルの脅威に対応するためアメリカは韓国にTHAADと呼ばれる高高度の迎撃ミサイルシステムを配備したが、今回の米朝間の応酬を経て、さらに追加配備が計画されることになった。この迎撃ミサイルシステムは、北朝鮮のミサイルにはまったく無力であることは、軍事関係者の間では周知の事実であるにもかかわらずである。

※続きは8月18日のメルマガ版「世界最新トレンドとビジネスチャンス」第77回「狂人?それとも天才?金正恩の真の実力(前編)」で。


著者:浜田和幸
【Blog】http://ameblo.jp/hamada-kazuyuki
【Homepage】http://www.hamadakazuyuki.com
【Facebook】https://www.facebook.com/Dr.hamadakazuyuki
【Twitter】https://twitter.com/hamada_kazuyuki

 

関連記事