2024年03月29日( 金 )

茨城県知事選、多選批判で橋本氏7選ならず

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、茨城県知事選で7選を目指した橋本元知事が落選した原因は政策ではなく、多選批判であるとした8月19日付の記事を紹介する。


8月27日に実施された茨城県知事選挙で、自公が推薦する新人の大井川和彦氏が当選した。7選を目指した現職の橋本昌氏は落選し、共産党が推薦した鶴田真子美氏も及ばなかった。

橋本氏が落選した主因は主権者の多選批判である。橋本氏はこれまでに6選されている。24年間にわたり県政を支配してきた。多選批判が出るのは当然だ。

全国では橋本氏を含めて4期以上務めている知事が13人いる。このなかで、6期が今回落選した茨城県の橋本昌氏と石川県の谷本正憲知事の2名である。兵庫県の井戸敏三知事は本年7月2日の選挙で5選された。5選は井戸知事ただ1人である。これ以外に4選知事が全国に10名いる。
石川県では来年3月までに知事選が実施される。谷本氏が7選を目指すとすれば、多選批判が沸騰することは間違いない。

多選は政治腐敗の土壌になる。米国大統領にも多選禁止規定がある。大統領は2期8年までしか務められない。多選を阻止しようとするのは、健全な民主主義社会を構築するうえでの主権者としての当然の行動である。

茨城県では橋本氏の多選批判の世論を自公が吸収してしまったのである。茨城県知事選では原発再稼動の是非も争点に浮上した。有権者の多数は原発再稼動に反対していると考えられるが、この点よりも「多選阻止」が優先されてしまったのだと言える。

安倍政権が森友疑惑、加計疑惑で、権力私物化、腐敗政治の馬脚を現した。安倍首相は森友疑惑で「自分や妻がかかわっていたら総理大臣も国会議員も辞めることははっきりと申し上げておきたい」と明言している。森友疑惑は首相退陣に直結する重大事案である。
その森友疑惑の核心人物である安倍昭恵氏が、いまだに一切の説明責任を果たしていない。このような無法が許されるわけがない。

他方、国家戦略特区はいかがわしいプロセスで加計学園の獣医学部新設を決めた。安倍首相が深く深く関与していると推察されている。この件に関して安倍首相は「働きかけていたら責任を取る」と国会で明言している。これも首相退陣に直結する重大事案である。

この加計疑惑の核心人物である加計孝太郎氏も一切の説明責任を果たしていない。そしていま、加計学園に補助金詐取の濃厚な疑惑が浮上している。大阪地検特捜部は森友学園元理事長の籠池泰典氏夫妻を「詐欺罪」で起訴し、現在も勾留を続けている。

これよりもはるかに巨大な不正疑惑が浮上している加計学園に対して、検察当局が適正な捜査を行わないとすれば、この国は完全な暗黒社会に堕しているとしか言いようがなくなる。
事態を打開するには、選挙で勝つことが必要不可欠だ。選挙で利権政治を推進する利権複合体勢力を打倒することが必要なのだ。

重要なことが2つある。1つは、どのような野党共闘体制を構築するのか。いま1つは、勝てる候補者を擁立することである。

民進党の代表戦が行われているが、読売、産経、日経が足並みを揃えて前原勝利を誘導している。前原氏は小池国政新党との連携を否定しない一方で、共産党との共闘に慎重な姿勢を示す。

日本を支配する勢力は、自公と第二自公による二大政党体制の構築を目指している。そのために、民進党を第二自公創設に誘導しようとしている。これが、読売、産経、日経が前原支援を行っている背景であると推察される。

しかし、安倍暴政の基本路線を排除して、主権者の意思に沿う政治を実現するには、安倍政治に対峙する勢力が連帯、大同団結するしかない。自公と第二自公の二大政党体制では政権交代は生じるかも知れないが、政策転換は起こりようがなくなる。

したがって、目先の「数合わせ」の発想を脱却して、政策を基軸にした反安倍政治勢力の結集、大同団結を目指さなければならない。民進党を分党し、反安倍政治勢力が共産党を含めて結集して次の衆院総選挙に臨まねばならない。

※続きは8月28日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1831号「自公と第二自公共倒れに最大チャンス」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

 

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