2024年04月19日( 金 )

進化するインドと日本の同盟関係 深まる安倍・モディ首相の親密度(後編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、9月1日付の記事を紹介する。


 実際、2015年8月にウラジオストックを舞台に実施された中ロ合同演習は過去最大の規模となった。しかも、中ロ友好協力条約によれば、「どちらかに脅威が及んだ場合、他方が支援する」という相互援助が条文化されているのである。仮に米中が軍事的に対立した場合、ロシアは中国を支援するというわけだ。その逆もある。片務的な日米安保とは異なり、まさに軍事同盟としての役割が明文化されている。

 では、そうした動きを加速させる中国の意図をどう分析すべきであろうか。また、南シナ海における軍事基地化の本当の狙いは何なのか。中国は新たに建設した飛行場にジェット戦闘機を送り込んでいるようだが、その目的は?しかも、配備されつつある戦闘機はロシア製のSU-35と目され、世界最高の性能を誇るもの。アメリカも一目置く存在だ。

 アメリカを誘い出した上で、ロシアとも結託し、超大国アメリカを潰す戦略に舵を切ったとでもいうのであろうか。言うまでもなく、財政赤字に苦しむアメリカはアジア太平洋地域において、その海軍力が「ハウス・オブ・カーズ(トランプでできた家)」と揶揄されるごとく脆い存在になりつつある。そうしたアメリカや日本にとっての「不都合な真実」を見越した上での中国的深慮遠謀のなせるワザなのか。

 もちろん、別の見方もあるだろう。しかし、いずれにせよ中国は単なる資源獲得に止まらずアメリカを抜く超大国への道を目指していることは間違いなさそうだ。言い換えれば、世界の覇権国家を目指しているといえよう。この点を見誤ると、アジアの安全保障環境は崩壊する。繰り返すが、中国は岩礁の基地化を通じての広範な領有権を追求しているだけではないからだ。その点での、中国の真意を読み解く必要がある。

 アメリカは遅ればせながら、第7艦隊所属の空母「ジョン・ステニス」や駆逐艦を南シナ海へ派遣した。しかし、財政的な重荷を背負うアメリカにはかつてのような「世界の警察官」の役割を担う意思も能力もない。ましてや、ビジネス最優先のトランプ大統領はアメリカの武器や兵器を買ってくれるなら、台湾にも韓国にも、いくらでも武器輸出をする、という姿勢。日本にも1基800億円の「イージス・アショア」など陸上配備のミサイル防衛システムの売り込みに余念がない。

 自前の軍事的対応がかなわないためか、アメリカは日本やインドとの3か国合同演習に力を入れつつある。これも日本ではほとんど報道されないが、わが国はインドと経済、軍事的な連携を強める方向に進んでいる。多分にアメリカの意向もあり、中国封じ込め戦略の下で、インド、オーストラリアとも集団的安全保障体制の構築を進めているのが安倍政権である。

 こうした動きができるようになったのも、2015年、すったもんだの末、成立した安保法制の賜物といえよう。事態は急ピッチで動いている。例えば、フィリピン北部での軍事演習が想定されている。この計画はアメリカの太平洋軍司令長官ハリー・ハリス提督によってインドのニューデリーで開催された安全保障会議の席上で明らかにされた。中国の反発を呼んだのも当然だろう。

※続きは9月8日のメルマガ版「世界最新トレンドとビジネスチャンス」第80回「進化するインドと日本の同盟関係:深まる安倍・モディ首相の親密度(後編)」で。


著者:浜田和幸
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