2024年04月25日( 木 )

中国経済新聞に学ぶ~ロッテが中国店舗の売却を検討

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 ロッテマートは、週末高高度防衛ミサイル(THAADミサイル)の問題で陥った経営の苦境から脱却するため、3億ドルを出資して、中国エリアのロッテマートに2回目の緊急「輸血」を行うことを決定した。ロッテマートは2億1,000万ドル(約230億円)を短期借入金の返済にあて、残りの9,000万ドルを中国のロッテマートの運営資金に回すという。

 ロッテマートは2008年に北京で開業したのを皮切りに、中国全土で112店舗を展開してきた。公式サイトによれば、18年には300店舗に拡大し、売上高2,000億ドルの達成を目指していた。

 ところが、その計画の前に中国による執拗な経済制裁が立ち塞がる。

 今年3月、中国政府はロッテマートに対し、消防法などへの違反を理由に営業停止の強制処分を下した。3月は対象店舗37店だったが、4月には対象が74店舗に増えた。処分は「1カ月の営業停止」のはずだったが、中国史「環球網」によると、5月31日時点で74店舗が休業状態にあり、13店舗が自主休業、12店舗が「開店休業状態」にあるという。
 通常営業を続ける12店は売上高が前年同期に比べて80%も減少したという。ロッテマートの損失額は5,000億ウォン(約550億円)に達する見込みだ。

ロッテが中国店舗に再「輸血」

 韓国紙「亜州経済」の8月31日付報道では、ロッテグループは中国のロッテマートに2回目の運営資金の提供を行った。今年3月にも3,600億ウォンを注入したばかりで、6カ月を経て再び「病状の深刻さ」を認めたことになる。
 ロッテマート関連部門の責任者は、「3月に集めた緊急運営資金の3,600億ウォンは今月末にすべて底をつくので、追加の資金注入を決めた。順調にいけば、今回の『輸血』でロッテマートは、今年いっぱいは持ちこたえられる」と話す。報道によると、現在の状況が年末まで続けば、損失額は1兆ウォンに達する。経営は苦境に陥っているが、ロッテは中国市場からの撤退は考えていない。来年上半期まで何とか持ちこたえても、状況が好転しなければ、事業規模の縮小などを検討するという。

 朝鮮日報は9月9日、ロッテショッピングの親会社ロッテグループの幹部の話として、同社が中国で展開するロッテマート99店舗のうち最大50店舗を段階的に売却し、人員を削除することを計画していると報じた。
 報道は、ロッテだけでなく、中国に進出した他の韓国企業も苦しんでいることを伝える。1997年に中国を進出し、一時は30店を展開していた大型スーパーの易買得は、今年5月に中国市場からの完全撤退を決めた。20年続いた赤字にTHAADミサイル問題の影響が加わり、中国店舗の実際の業績は悪化を続けていた。易買得の発表によれば、今年末までに、中国に残る6店をすべて閉店するという。

 報道を見ると、中国市場で発展成果を積み重ねてきた韓国化粧品メーカーのアモーレパシフィックも、THAAD問題の影響を直接受け、今年第2四半期(4~6月)の売上高は1兆250億ウォン、営業利益は1,016億ウォンとなり、営業利益は前年同期の半分に減った。THAAD問題の影響があってもアモーレは中国で「悦詩風吟」(イニスフリー)ブランドや「雪花秀」(ソルファス)ブランドの売り場を拡大してきたが、期待されたほどの成果は上げていない。中国人観光客の韓国での化粧品購入額が減少したことも、業績の悪化に一定の影響を与えている。

中国人観光客の減少でロッテ免税店が仁川空港から撤退

 韓国のロッテグループの関係者が4日に明かしたところによると、傘下のロッテ免税店のソウル仁川国際空港店は業績が振るわず、高い家賃負担に耐えかねて、ついに撤退を検討する段階に入ったという。
 ロッテ免税店が撤退の意向を明らかにしたのは、今回が初めてのことだ。アナリストは、「ロッテ免税店の仁川空港店が閉店すると、ドミノ式に、仁川空港で『閉店ラッシュ』が起こる可能性がある」との見方を示す。

 ロッテ免税店は韓国最大の免税店で、韓国に8つの実店舗がある。そのうち仁川空港店には香水と化粧品の専用カウンターがあり、同空港で最大面積の化粧品売り場となっていた。
 ロッテグループの上層部は4日、「この店舗は空港運営再度に支払う高額の家賃の負担に耐え切れず、撤退を検討中だ」と述べた。ロッテ免税店が対外的に撤退の意向を表したのはこれが初めてだ。同上層部の説明では、「撤退を考え始めた主な原因は、中国人観光客の大幅減少で、同店舗の業績が大幅に落ち込んでおり、契約通りに家賃を払えなくなったことだ」という。

 ロッテ免税店の話では、「仁川空港にある支店はこれまでずっと赤字の状態が続いていたが、会社がこの場所に支店を設けるのは主にシンボル的意義を重視するからだった。訪館中国人観光客の激減で、ロッテ免税店の今年第2四半期(4~6月)の経営損失額は298億ウォン(約109億円)に達した」という。


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