2024年04月25日( 木 )

自公・希望の票食い合いで野党共闘が抜け出す構図

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回の総選挙で目指すべきものはなにか、敵は何者なのかを改めて考察した10月2日付の記事を紹介する。


 今回の衆院総選挙の第一の課題は安倍暴政を一掃すること。政治私物化・もりかけ隠し安倍逃走政権を排除すること。民進党のすべてが希望の党に合流し、まずは安倍政権を排除するなら、これは一つの戦術としてはあり得た。主権者勢力が「トロイの木馬」となって、安倍政権排除後に希望の党を分割するという戦術があり得たからである。しかし、小池希望の党が拙速に牙を剥き始めたため、希望の党自体が急激に失速する状況が生まれつつある。小池希望の党が、戦争法制容認、日本を「戦争をする国」に改変する憲法改悪を「踏み絵」にする行動を明示し始めた。

 民進党は野党4党で「戦争法制を廃止する」ことを基本合意として選挙共闘を構築してきた経緯がある。この民進党が戦争法制を容認することを条件に小池希望の党と合流することはあり得ない。
 小池希望の党が拙速に「踏み絵」方式を用いようとしたことで、民進党全体との合流話が崩壊しつつある。結果として、民進党は二つに分党することになる可能性が高まった。
 本来は、民進党代表選の時点で決定するべき事項であったが、紆余曲折の末、結果的にようやく民進党の分離・分割が実現する可能性が高まっている。反戦・反核・反貧困の旗を明示する民進党革新勢力は、共産党、社民党などと共闘体制を構築できる。
 一方で、小池希望の党は、明白な自公類似勢力になるから、自公と第二自公と革新勢力による選挙戦が実現する可能性が生まれている。

 私は著書『「国富」喪失』(詩想社新書)のなかで、「日本政治を死に至らしめる二党独裁」の節を設けて次のように記述した。
「日本を支配する支配者、支配勢力は、その支配構造を維持するために三つの工作活動を展開してきたと筆者は判断する。三つの工作活動とは、第一に野党民進党(旧民主党)を「準与党」化させること、第二に創価学会と共産党を離間させておくこと、第三は反自民勢力の受け皿として、「準与党」としての人為的第三極政党を樹立すること。この三つの方策が講じられてきたと判断する。」
「第三の工作活動が人為的な「第三極」創設である。ここで重要なことは、この「第三極」勢力が、常に「準与党」勢力として創設されていることである。」
「その延長上にいま、大きな工作活動が展開されていると見られるのが小池百合子新党である。」
「しかし、その狙いを冷静に見つめる必要がある。小池氏のベースは自民党にあり、その主義、主張は現在の維新勢力ときわめて近い。また民進党もこの小池新党に秋波を送っているが、その中心は民進党内の「準与党」勢力である。」
「究極の狙いは現在の自民勢力と第二自民勢力によって日本政界の中核を占有してしまうことである。第一自民と第二自民とによる二大政党体制が構築されれば既得権勢力にとっては、どちらに転んでも何の痛みも生じないことになる。」
「筆者はこれを「二党独裁制」と表現する。中国やロシアが共産党による一党独裁と批判されるが、実態上の内実において、この一党独裁と、米国流の共和・民主の二党独裁には根本的な差異がない。日本を支配する勢力が目指す究極の姿が、この二党独裁体制であると思われる。」

※続きは10月2日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1858号「自公・希望の票食い合いで野党共闘が抜け出す構図」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

 

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