2024年04月18日( 木 )

2018年に問われる5つの課題

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、年頭にあたり、憲法改悪に向かう安倍政権に対抗することを改めて呼びかけた1月1日付の記事を紹介する。


2018年が幕を開けました。本年もなにとぞよろしくお願い申し上げます。今年一年がすべての人にとって明るい佳き一年になることを願います。

社会のすべての者にとって佳き一年になるためには、政府の役割が大きい。政治権力が「自分ファースト」の姿勢で政治を運営し、「ハゲタカ」の利益だけを尊重するなら、日本の主権者の生活は不安定なものになる。平和、人権、民主主義という日本国憲法の基本を改めて確認して、日本政治の刷新を実現してゆかねばならない。この、平和、人権、民主主義が揺らいでいる。この原理を定めている日本国憲法を改悪する企てが進行している。憲法の条文は絶対不可侵のものではなく、必要があれば改正することは必要だ。しかし、改正は必要でも改悪は必要でない。日本の主権者は憲法改悪を阻止するために力を尽くさなければならない。

2018年の課題を5つ提示しておこう。いずれも2017年から引き継ぐ重要な課題だ。これらの問題を1つずつ、的確に解決してゆくことが必要である。
5つの問題とは、1.憲法改定論議の内容を精査して、憲法改悪を主権者の総意で阻止すること、2.日本の言論空間に大きな影響を与えているNHKのあり方について抜本的な改革を実行すること、3.米国のトランプ政権が秋には中間選挙を迎えるが、トランプ政権のゆくえが世界の政治経済情勢に多大の影響を与える。その米国の動向を注視すること、4.隣国の韓国、中国との関係が揺らぎ続けているが、東アジアの平和と安定のために日本が中国・韓国と健全な友好関係を構築することができるのかどうか。安倍政治の外交能力が問われること、5.安倍首相が森友・加計・山口の重大疑惑に対して必要十分な説明責任をはたすこと。この5つの問題が重要である。

安倍政権与党が衆参両院で3分の2議席を占有していることから、安倍政権が憲法改定の発議を行う可能性がある。憲法改定には衆参両院の3分の2以上の議員による賛成が必要で、憲法改定が発議されれば、最終判断は国民投票に委ねられる。国民投票で有効投票の過半数の賛成があれば憲法が改定されることになるが、一度改定してしまうと、その再改定には、また3分の2以上の議員の賛成が必要になる。従って、憲法改定には細心の注意を払う必要がある。安倍政権は、1.自衛隊を憲法に明記、2.参議院の合区解消、3.教育無償化の明記、4.緊急事態条項の創設、の4点を推進する可能性が高い。しかし、1~3については、憲法を改定してまで実施する意味が乏しい。現行の法体系のなかで処理して、取り立てて大きな問題はない。しかし、4の緊急事態条項の創設はまったく意味が異なる。自民党憲法改正草案に示されている緊急事態条項は、日本国憲法の根幹を改変してしまう内容を含んでおり、厳重な警戒が必要である。

自民党憲法改正草案に明示されている緊急事態条項は、日本国憲法の根本原理である、平和、人権、民主主義を根こそぎ否定しまう潜在力をもつものである。緊急事態が宣言され、その下で人権と民主主義が否定され、日本が戦争を推進する事態が想定されるのである。どんなことがあっても、この緊急事態条項だけは制定させてはならない。

※続きは1月1日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1934号「日本を明るい国にするために元旦から始動」で。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』

 

関連キーワード

関連記事