2024年04月18日( 木 )

構造計算書偽装問題が再燃の可能性

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(協)建築構造調査機構 代表理事 仲盛 昭二 氏
技術顧問 京極 勝利 氏

2007年6月の法改正前は偽装だらけ

 2005年、構造計算書偽装問題が起こり、我が国の建築業界を震撼させた。背景には、建築主による利益優先(コスト削減)主義があったが、特定行政庁による建築確認審査が極めてずさんであり、チェック機能が働いておらず、偽装を助長させたことを見落としてはならない。

 国は07年6月、建築基準法などを改正し、建築確認の運用を厳しくした。この結果、07年以降の構造計算偽装は極端に少なくなった(杭データ偽装などもあり、偽装が完全になくならないことは残念である)。

 昨年、私たちは、07年以前のずさんな建築確認によって、多くの建物において不正な構造計算が行われていたことを問題提起した。それは、「鉄筋コンクリート造建物の構造計算における柱・梁接合部の検討省略」と「鉄骨鉄筋コンクリート造建物の構造計算における不正な係数の低減」である。

 現在までに調査した建物において、非常に高い確率で、不正な設計が確認できている。今年は、この「不正な構造計算」が全国的に問題化することは必至である。

 東京都の豊洲新市場の鉄骨鉄筋コンクリート造の構造計算においても不正な構造計算が判明している。東京都は新市場の開場スケジュールを決定し発表したが、構造上の安全性に問題を残したまま移転・開場すれば、あとあと、取り返しのつかない事態になるのではないかと懸念される。

不正な構造計算に立ち向かうべき

 上記に述べた不正な構造計算に起因する建物の構造耐力の毀損に関しては、販売業者や設計業者の賠償責任を追及することが可能である。

 損害賠償を求める訴訟を提訴するとしても、分譲マンションの場合、区分所有者の意見がまとまらないと提訴できないと考えている方も多いようであるが、1人の区分所有者であっても提訴は可能だ。1人であれば、意見の一致を図る集会も不要なので無駄な時間を省くことができるし、訴訟の費用も格段に少ない。

 弁護士は、原告の数が多いほど報酬の額が大きくなるので、より多くの区分所有者による提訴を勧めるが、これは弁護士の都合に過ぎない。必要なのは、その1人が少しの勇気と行動力を示すことである。その勇気と行動を示される方が望めば、私たちも応援していきたいと考えている。

<お問い合わせ>
欠陥マンション構造研究会 DM事務局(担当:山下)
TEL:092-262-3388/FAX:092-262-3389
E-Mail:yamashita-k@data-max.co.jp
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