2024年04月25日( 木 )

間近に迫る自動車革命 中国は自動運転車の走行実験中

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2018年2月2日付の記事を紹介する。


 ここ数年、自動車の未来をめぐってはさまざまな研究開発の動きが活発化している。すでに述べたように、実用化のメドが立っているのが自動走行自動車であろう。「ディープラーニング」に力を入れるGoogleが先鞭をつけたかたちで、GPSとスマートフォンの機能を活用することで、運転手が操縦しなくとも、目的地まで自動車を送り届けてくれるというわけだ。

 飲酒運転や疲労や不注意による事故も防ぐことができる。また、渋滞情報を活用し、目的地まで最速で到着できるルートを車が自動的に判断してくれる。まさに「ドライバーレス(運転手不要)カー」の登場に他ならない。これまでは夢の世界の話と受け止められていたが、ここにきてにわかに現実味を帯びてきた。

 たとえば、2016年4月、スウェーデンの自動車メーカー「ボルボ」が100台の自動走行車を使い、中国で安全走行の実験を始めると発表し、世界を驚かせた。この自動走行技術には中国も以前から関心を寄せており、公道での走行実験を重ねることで、安全運転の環境整備をスウェーデンのメーカーと協力して進めるとの意向を固めたのである。同社のサムエルソン社長曰く「自動走行車には多様なメリットを生み出す力がある」。

 実は、ボルボは2010年に中国の自動車メーカー「吉利(ジーリー)」に買収されている。ボルボは今や中国の会社なのである。経営不振に陥ったボルボはスウェーデン政府に救済を求めたが、すげなく拒否された。フォードの傘下に入ったボルボだが、中国の自動車メーカーに買収され、中国企業として復活の機会をうかがってきたのである。

 そのため中国とすれば、自国企業となったボルボの存在意義を高め、国際競争力を強化する起死回生を狙って、国内での走行実験にゴーサインを出したわけだ。中国の高速道路の総延長距離はアメリカを抜いて、今や世界最長である。冒頭に述べたが、急速なモータリゼーションの影響で、国内の主要都市では慢性的な交通渋滞と公害問題が深刻化している。こうした問題の緩和と事故防止に役立つという観点から、中国政府は早期の自動走行車の導入に強い関心を抱いてきたようだ。

※続きは2月2日のメルマガ版「間近に迫る自動車革命:自動走行車から空飛ぶ無人タクシーまで(後編)」で。


著者:浜田和幸
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