2024年04月20日( 土 )

『脱大日本主義』日本の針路を確立する

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 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、「大日本帝国」と「大」をつけてしまうかつての日本の抜きがたい劣等感と、そこから脱しきれない安倍政権の幼児性を鋭く突いた2月1日付の記事を紹介する。


1月30日夕刻、東京音羽の鳩山会館で第24回世界友愛フォーラム(http://www.eaci.or.jp/joining/ )が開催された。

本年の初頭を飾る世界友愛フォーラムでは、東アジア共同体研究所理事長の鳩山友紀夫元内閣総理大臣が「脱大日本主義と日本の未来」の演題で詳細なレジュメに基づき1時間半にわたって熱弁を奮われた。
鳩山元総理は昨年『脱大日本主義』(平凡社新書)を出版された(https://goo.gl/4YWaV1)。昨年末の本ブログ、メルマガでも紹介させていただいている。
同書の副題は「「成熟の時代」の国のかたち」である。かつて石橋湛山が、日本が欧米の列強に対抗して拡張主義の政策を批判して、日本は拡張主義に走るべきではないとの主張を「小日本主義」として掲げたが、発想の原点は通じる部分がある。

そもそも「大日本帝国」との表現自体が、日本の劣等感を象徴するものである。自分を大きく見せるために「大日本」と自称するのである。力のない者ほど自分を大きく見せたがるものだ。本当に力のある者は自分を大きく見せようとはしない。大きく見せようとしなくても大きい者は大きいし、小さい者は小さいのである。
鳩山氏は沖縄と福島に焦点を当てて話を始めた。沖縄では米軍機による事故が相次いで発生している。日本政府とNHKは墜落事故を「不時着」と表現しているが、まさに大本営の行動様式である。辺野古海岸に墜落して大破した事故を「不時着」と表現することはできない。

この沖縄でいま名護市長選挙が行われている。米軍基地を造らせない、米国に支配され、米国に隷従する日本を脱却するには、まずは、この名護市長選挙で辺野古基地阻止を訴える稲嶺進氏を勝利させなければならない。

そのためにオールジャパンの力の結集が必要である。
福島の原発事故は今なお、まったく収束していない。多数の甲状腺がんの発症も報告されている。そして、そもそも、この事故の原因が特定されていないのである。政府は津波による電源喪失に主因を帰着させようとしているが、津波ではなく地震によって事故が発生した疑いを否定できていない。
日本は世界最大級の地震大国である。この地震大国の日本が原発推進である点に根本的な矛盾が存在するのである。

日本の現状は完全なる対米依存、対米従属である。戦後72年の時間が経過しているが、日本は日米安保条約、日米地位協定、日米合同委員会などの仕組みによって、米国の支配下に置かれている。そして、安倍政権は自ら率先して米国の被支配者としての位置付けを積極的に肯定しているのである。

トランプ大統領は横田基地から日本に入国し、横田基地から日本を出発した。パスポートを使わずに日本を自由に出入国するその姿は、日本が独立国ではないことを象徴するものであった。

戦後の日本は経済の大国化を目指し、そのうえで政治上の大国を目指し、さらに軍事上の大国を目指すという意味での「大日本主義」を追求する行動を示してきたが、いまこそ、この発想から決別するべき時機が到来していると鳩山氏は指摘する。安倍政権が福島の事故があってもなお、原発推進に執着するのは、単に原子力村の圧力に依っているだけではなく、核大国=核武装の「夢」を捨て切れないからなのではないか。

中国や北朝鮮が脅威であるとの「扇動」が行われているが、中国や北朝鮮は、本当に「脅威」なのかどうか、十分な考察が必要である。

※続きは2月2日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1958号「『脱大日本主義』日本の針路を確立する」で。


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