2024年04月25日( 木 )

広島で「原爆落ちろ」とヤジる中日ファンに批判殺到、アカウント削除

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 スポーツ興行につきものといえるのが、観客席からのヤジ。とくにプロ野球では、辛らつなヤジに思わずニヤリとした経験をお持ちのオールドファンも多いのではないだろうか。阪神ファンの「川藤出せ、川藤!」からの代打川藤を受け、「ホンマに出してどないすんねん……」など、今も語り継がれる名作ヤジは多い。
 福岡に移転後のホークスファンは暖かく、記者は福岡ドームで強烈なヤジを耳にした経験はない。しかし関西の野球ファンにとっていまだにヤジのうまさはひとつのステータスとなっているという話もあり、ホークスナインも阪神との日本シリーズではやや警戒していたという。

 だが、「思わずニヤリ」ではすまないヤジを飛ばす輩もいる。中日ファンを称する男が、Twitter上で公開した動画が物議を醸した。男ら数人は広島カープの本拠地マツダスタジアムで、「かっとばせ! 死んじまえ! 原爆落ちろ、カープ!!」と叫んでいたのである。

 たちまちTwitter上で批難が集まり、新聞などが報道するに至って男は謝罪文を投稿してアカウントを削除。しかし削除前に「形だけでも謝っとこうと思いました」と投稿していたともいわれ、事実だとすればさらに悪質だ。

 すべてのヤジが否定されるべきではない。しかし、必要以上に他者を攻撃するべきではないし、「原爆」という非常にデリケートなテーマを扱う必要があるかどうかは、ヤジを口に出す前にぜひ考えてほしい。

 スポーツをヘイトの道具にしてはならない。スポーツでの勝敗はチームや選手、チームの本拠地、ファンの優劣を決めるものではないし、それを基に他人を攻撃することがあってはならない。応援の仕方やファンのあるべき姿といった「規制」でがんじがらめにされたスタジアムにはいく気にならない。しかし、それでも「かくあるべし」という理想はあっていい、と思うのだ。とくに、非日常を楽しむスポーツの場だからこそ、理想を掲げるべきではないだろうか。

【深水 央】

 

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