2024年03月29日( 金 )

心得違いの男たちで溢れる、財務省が使う「心得」とは?~国税庁長官「心得」の謎

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 「改ざん+隠蔽」ドミノがついに、トップ人事まで到達した。佐川宣寿前国税庁長官に続いて、事務方トップの事務次官にまで「前」がつくことになった財務省。麻生太郎財務相は19日、G20出席で日本を離れたため、財務省は現在大臣と事務次官、国税庁長官の3トップがいないという、文字通りの「異常」事態にある。もはや財務省は省として、いや組織としての体をなしていない。

国税庁長官心得、とは?

国税庁長官心得、とは?

 大蔵省時代から「最強官庁」と畏怖され、国内最高峰のエリートたちが財務省に集ったのも今は昔。いま、最優秀の東大生は財務省を蹴って国外に出るという。
 無理もない。公文書改ざんという犯罪行為を強要されて自死したノンキャリア。そのノンキャリアを見捨てたうえに、「訴追の恐れ」で説明責任を放り出した国税庁長官。そしてスケベ顔で「おっぱい」だの「縛りたい」だのを連呼する次官――いったい、財務省にどんな未来を描けるというのか。国家を背負って立つべき若者たちに絶望を与えたという意味でも、彼ら1982(昭和57)年入省組の罪は重い。

 彼らを指して、「呪われた57年組」の呼称も流布している。佐川氏、福田淳一前財務省事務次官、そして「森友疑惑のキーマン」迫田英典元国税庁長官。ついでにというわけではないが、元大蔵官僚の参議院議員、片山さつき氏も同期だ。かつて大蔵省「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」で逮捕されたなかにも57年組がおり、ほかには過剰接待で退職した者もいる。「よくぞここまで」と言いたくなる、不祥事・疑惑のオンパレードだ。

 ところで、記者が情報公開請求で入手した資料に「国税庁長官心得 藤井健志」なる文字が並んでいた。重複する役職を指して「心得」と書かれた名刺を目にしたことはあるものの、それはすべて民間企業のもの。財務省でいう「心得」とはどのような意味なのか。素朴な疑問を財務省に問い合わせてみた。すると結果は意外なものに。

 財務省広報は、「心得」の意味について当初、「わからない」と回答したのだ。続いて、「調べて回答します」とのたまった。自らの組織内の呼称、しかも外部に出した書類に書かれた呼称を「調べる」とはどういうことか。
 2日後、財務省広報から連絡があった。要約すると、「下位の役職が上位の役職を兼務する際に、財務省内の慣例として『心得』を付ける。給与などは次長職級が適用される」とのこと。つまり、単独の国税庁長官が不在ということで、予想された回答ではあった。しかし、役職の意味を調べるのに2日かかるとは、いったいどこまで効率の悪い組織なのか。派手なスキャンダルに目がいきがちだが、財務省が抱える宿痾(しゅくあ)は、こうしたささいな事に象徴されている気がしてならない。

 

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