2024年04月25日( 木 )

急速に拡大する中国の現代版シルクロード「一帯一路」戦略(前編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2018年5月11日付の記事を紹介する。


 今や、世界のパワーバランスが大きく変貌を遂げようとしている。「世界の警察官」を豪語したアメリカが国際舞台から徐々に距離を置き「アメリカ・ファースト」に傾く中、中国による国際的な影響力の拡大が目覚ましい。その象徴的な動きが「一帯一路計画」であろう。中国には「要想富、先修路」ということわざがある。「豊かになりたければ、先ず道路を整備せよ」という意味だ。インフラ整備を通じて、自国内に限らず、世界に覇を唱えようとする「中国の夢」とも合致する。これまでのアメリカ主導の国際秩序を中国式に塗り替えようとする大胆な試みにほかならない。

 その背景には1970年代まで貧しかった国を30年でアメリカと肩を並べるまでに経済発展を成し遂げたという自信が感じられる。日本では中国の台頭を「新たな脅威」と受け止め、警戒する向きもあるが、朝鮮半島の安定化に関しても中国の関与は無視できない。いうまでもなく、日本にとって中国は今や最大の通商貿易相手国となった。ここは冷静に中国の動きと、その意図を分析し、Win-Winの関係を目指す時である。

 昨年5月、北京では「歴史上、最も野心的な経済発展計画」と呼ばれる「一帯一路」構想を議論する国際サミットが開催された。「中国版マーシャルプラン」とも受け止められているが、それより4年前に習近平国家主席が打ち出した「現代版シルクロード経済圏構想」を進化させようとするもの。その具体化を検討、協議するのが、昨年の国際サミットであった。

 この会議にはロシアのプーチン大統領始め29カ国の首脳が参加。アメリカや北朝鮮を含む130カ国から1,500人が集うという、中国にとっては「最大の外交イベント」となった。日本からは自民党の二階幹事長が出席し、安倍総理の習近平主席宛の親書を持参。当時は北朝鮮が核・ミサイル開発を強行する姿勢を見せていたが、ピョンヤンに強い影響力をもつ中国との関係を重視していることをアピールした。

 鄧小平が打ち出した改革開放政策の結果、30年余りで世界第2の経済大国となった中国。習近平主席の肝いりでアジア・インフラ投資銀行(AIIB)などを立ち上げ、新興国を中心にインフラ整備に力を入れ、グローバルなスケールでの「仲間づくり」に成果を上げ、存在感はゆるぎないものになってきた。本年5月にはフィリピンだけで50万人の労働者を受け入れると発表したが、国内経済の拡大にともなう労働力不足を補うためでもある。

 しかも、「エコロジー文明」を標榜し、その趣旨を憲法にも明記するほどだ。この分野では日中が協力できる可能性が高い。日本から学んだ新幹線技術を応用し、中国全土に高速鉄道網を整備した中国では、その流れをさらに進化させ、風力自家発電で時速500キロの高速移動を可能にしつつある。翼を付けた高速鉄道であり、日本の協力の下、実験が加速している。

※続きは5月11日のメルマガ版「急速に拡大する中国の現代版シルクロード「一帯一路」戦略(前編)」で。


著者:浜田和幸
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