2024年04月25日( 木 )

新元号公表は一刻も早く 1カ月前では遅すぎる

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 政府は17日、天皇陛下の退位と皇太子殿下の即位にともなう新しい元号について、関係省庁の連絡会議を初めて開催し、即位1カ月前にあたる4月1日に新元号を公表することを想定した。

 「1カ月」は情報システムの改修を進めるための猶予期間だということだが、ハッキリ言って時間の読みが甘すぎる。たしかに昭和から平成への改元が行われた際には、昭和天皇が崩御されたまさにその日に新元号が「平成」であることが明らかにされた。しかし30年前と現在とでは、「年号を変更する」ことにかかる社会的な負荷の大きさが違いすぎる。

 平成改元の当時と異なり、ほとんどの企業や官公庁などでは経理・会計のデジタル化が進行している。もちろん業務上は西暦を使用しているケースも多いが、元号は官公庁を中心に請求書の日付管理などに用いられている。平成改元の際にはカレンダー業界、手帳業界など印刷に関わる業界で混乱が見られたが、今回は想像を上回る範囲で混乱が起きる可能性がある。

 「1カ月」という時間は、システムの規模と人員にもよるが、十分なテストをしたうえでのシステム改修を行うにはとても足りない、という意見が多いのではないだろうか。記者の周囲のIT関係者からは、「できれば半年、せめて3カ月」という声が多く聞かれる。

 明治以降、初めての生前退位となる今回は、改元による混乱を避けるために公表を早めるという対応は当然可能。もし仮に、「早すぎると国民の関心が新天皇に向かい、いまの天皇陛下を軽んじるのでは」という理由から公表時期を遅らせるのなら、これは逆効果になる可能性が高い。改元にともなう過剰な業務負担や混乱は、むしろ「国民の元号離れ」を加速させるのではないだろうか。

【深水 央】

 

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