2024年04月25日( 木 )

高速道路上のあおり運転をヘリで認定・検挙へ ~ 福岡県警が取り組みを本格化

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上空からの監視イメージ(福岡県警提供)

上空からの監視イメージ(福岡県警提供)

 高速道路上などで車間距離を詰めて異常接近したり、無理な追い越しや割り込みをしたりする危険な「あおり運転」に対して、福岡県警がヘリコプターによって上空から監視・検挙する取り組みを始めた。

 県警では、これまでにもヘリによる上空からの監視は行っていた。だが、違反運転の認定には車種やナンバーに加え、違反が行われた地点や時間の特定が必要で、上空からは正確に把握することが難しく、ヘリから連絡を受けた地上のパトカーが現場で確認し、検挙するというやり方が主に行われていた。しかし、パトカーが急行しても、その場では違反行為が確認できず、立件できないケースも多かったという。
 今回の取り組みでは、高感度カメラの使用によって地上監視の精度を高め、上空から違反行為を認定できるようになったのが最大の特長。上空から記録した映像を違法な運転の証拠とできるため、パトカーが現場で確認できなくとも、検挙が可能になった。こうした、ヘリによる上空からのあおり運転などの違反行為の認定は、全国的にもまだ珍しい取り組みだという。これまで取り逃していたあおり運転の検挙に加え、危険な運転行為の抑止につながることが期待されている。

福岡県警高速道路交通警察隊 竹下祐次副隊長

福岡県警高速道路交通警察隊
竹下祐次副隊長

 今回の取り組みに至ったきっかけは、昨年6月に神奈川県の東名高速道路で発生した、あおり運転による進路妨害を受けて、夫婦2人が死亡した事故だった。この事故が全国的に報じられ社会問題化したことを受けて、福岡県警ではあおり運転撲滅のため、上空から追跡・補足が可能なヘリを活用した取り締まりを強化することを検討。今年2月から、ヘリによる上空からの高感度カメラを用いた違反運転の記録や、違反運転車両の追跡、地上のパトカーとの連携などの訓練を行い、実際に運用できるところまで習熟が進んだことで、5月から本格的に取り組みを開始した。

 福岡県警高速道路交通警察隊の竹下祐次副隊長は、「まだ始まったばかりですが、航空隊との連携の下、高速道路上の安全・安心のために取り組んでおります。昔からよくいう『お天道さまが見ている』ではありませんが、上空からの監視・摘発を強めることで、危険なあおり運転などの違反行為の検挙および撲滅につなげていきたいですね」とコメント。
 また、「あおり運転行為を受けた場合は、決して挑発に乗ることなく、サービスエリアやパーキングエリアなどの安全な場所に避難したうえで、ためらわず110番してください」と、ドライバーに対しての注意喚起も行った。

福岡県警高速道路交通警察隊ではポスターを作成し、周知促進に努めている

福岡県警高速道路交通警察隊ではポスターを作成し、周知促進に努めている

【坂田 憲治】

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