2024年04月24日( 水 )

きょうで福岡大空襲から73年 ~「今一度1人ひとりが防災への意識を」

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 今から73年前の1945年6月19日深夜、福岡のまちは大空襲に襲われた。午後11時過ぎからの約2時間にわたる空襲で、繁華街を始め、市内の主要な地域はほとんど焦土と化した。被災戸数1万2,693戸、被災人口6万599人を数え、死者902人、負傷者1,078人、行方不明者244人を出したほか、軍関係施設から官公庁、工場、一般民家に至るまで、多くの建物が被弾炎上し、都市機能は壊滅状態に。悪夢の一夜となった。

 それから73年の歳月を経て、今では福岡市の人口は157万人を突破したほか、人口増加率は政令市のなかで1位。市内各地で都市開発が進み、九州はもちろんのこと、日本のなかでもホットな都市の1つといわれるまでに、発展を遂げた。しかし一方で、市内の区ごとの建物の建築年代区分のデータでは、市中心部にあたる中央区が古い建物の比率が一番高いという結果も出ており、新耐震基準が施行される前の建物も多く残っている。

 災害リスクマネジメントや防災教育を専門とする「九州大学 持続可能な社会のための決断科学センター」 助教の杉本めぐみ氏は、次のように話す。
 「福岡に限らず日本の都市は、空襲で焦土と化し、終戦後の急激な復興のなかで都市形成が進められていきました。そのため、いまだ木造住宅密集地域が多く残されているところもあり、残念ながら災害に対してそれほど強くないまちづくりが進んでしまってきたのが現状です。6月19日は福岡大空襲の日ですし、来月には九州北部豪雨から1年の節目を迎えます。こうした過去の災害の節目の日を契機に、皆が改めて防災について意識していくことも大切だと思います」。

 17日には群馬県南部を震源とする震度5弱の地震が、さらに18日には大阪府北部を震源とする震度6弱の地震が発生した。今年に入ってからでも、最大震度4以上を観測した地震が28回発生しており、災害は誰しも他人事ではない。福岡大空襲という過去の悲惨な戦災の節目の日に、今一度1人ひとりが、自分の身の回りの防災について意識してみてはいかがだろうか。

冷泉公園内にある「戦災記念碑」(博多区)

【坂田 憲治】

 

関連記事