2024年04月24日( 水 )

【18年W杯】勝ちに不思議の勝ちあり 日本2-1コロンビア

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 日本時間19日午後9時、ワールドカップロシア大会・グループHで初戦を迎えた日本代表。試合開始直後、前半3分に誰もが想定しなかった奇跡が待っていた。
 望外の勝利を導いたのは、鹿児島県南さつま市出身・鹿児島城西高校卒業のFW大迫勇也だった。

 自陣からのクリアボールを受けたMF香川真司が、弧を描くロングパスを前線に送る。そのパスに追いついた大迫が抜群のボディバランスで相手DFに競り勝ち、前を向いてシュートを放つ。これはコロンビアGKダビド・オスピナに弾かれるが、そこには香川が詰めていた。香川はノートラップで強烈な左足シュートを撃つが、これをコロンビアMFカルロス・サンチェスが手を使ってブロックしてしまう。当然ハンドの反則となりPKだが、さらにダミル・スコミナ主審はポケットから赤いカードを取り出す。サンチェスは退場となり、コロンビアは残り80分以上を1人少ない状態で戦うことに。香川は自ら獲得したPKを香川が落ち着いて決めた。
 サッカーは、そもそもフィールドの広さに対して人数が少ない競技だ(バレーボールやバスケットボールと比べてみるとわかる)。11人対11人の試合でも、相手の陣形をどう制御してフリースペースを生み出すかが大きなテーマになるが、両チームの人数に差が出ると前提条件は大きく変わる。両チームは難しいかじ取りを迫られることになった。
 数的優位を生かせない日本に対し、コロンビアは選手数が大きく影響しないセットプレーで勝負に出る。39分、ゴール前からのコロンビアMFフアン・キンテロのFKをGK川島永嗣がキャッチミスして失点。同点に追いつかれてしまう。
 
 その後も時折繰り出される鋭いカウンターに悩まされる日本だが、コロンビアのスターMFハメス・ロドリゲスの投入で流れが変わる。ロドリゲスは負傷からの回復が万全ではなく先発を外れていたが、たしかにプレーに精彩を欠き、コロンビアはチーム全体のスピード感が失われてしまう。さらにFWカルロス・バッカが投入されるが、悪い流れは変わらない。
 一方、日本のベンチからは、FW本田圭佑がピッチに送られる。西野監督就任後の親善試合でも結果が出ず、この試合でも先発から外れていた本田だが、ここ一番の大仕事をやってのける。73分、得意の左足でコーナーキックを蹴ると、大迫が相手DFに競り勝ってヘディングシュート。ボールはゴールポストを叩いてネットに吸い込まれ、日本の勝利が確定した。

 10人の相手に対して攻めあぐねるなど内容としては決して褒められるものばかりではないが、かつてプロ野球の野村克也監督が喝破したように「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」。まずは勝利を得たこと、勝ち点3をつかんだことを喜びたい。グループHのもう1試合でもセネガルがポーランドを下し、下馬評を覆すアップセット。日本の次節セネガル戦は、グループリーグ突破を賭けた大一番となった。

 最後に、この試合の日本はデュエル(1対1での競り合い)の勝率は56.6%とコロンビアを上回ったことを指摘したい。ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督が大前提としてかかげたデュエルの大切さ、1対1でしっかり勝負していくことの重要性は、ハリルホジッチ監督の解任で消えたわけではない。大迫を始めとした日本選手陣が常に相手DFにデュエルを挑み続けたことが、この勝利につながっているのだ。

【深水 央】

 

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