2024年04月25日( 木 )

品格と誠意の欠落が日本政治凋落の主因

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。
 今回は安倍政権の品格を問う5月13日付の記事を紹介する。


安倍政治に欠落しているものは品格と誠意である。森友、加計で明らかになっている事実が問うものは政治の品格そのものである。
安倍昭恵氏が森友学園に深く関わった。安倍昭恵氏は森友学園の幼稚園の教育現場に感涙して新設小学校の名誉校長に就任した。安倍晋三氏は森友学園について「この学校の先生方の教育に対する熱意はすばらしいと妻から聞いている」と国会答弁で明言した。
そして、安倍昭恵氏が新設小学校の名誉校長に就任して以降に、森友学園の籠池泰典理事長から小学校用地について相談を受けて公務員秘書に指示をして財務省と折衝させたと見られている。その結果として時価10億円相当の国有地が実質200万円で払い下げられた。
財務省は払い下げ価格を人為的に引き下げるためにゴミ埋設量の改ざん=増量を図ったことが明らかになっている。日本の刑事司法が適正に機能しているなら、国有地不正払下げを刑事事件として立件する必要がある。
また、財務省は安倍晋三氏が「自分や妻がかかわっていたら総理大臣も国会議員も辞める」と国会で明言したこととの整合性を取るために、決裁公文書を大規模に改ざんした。
日本の刑事司法が機能しているなら、虚偽公文書作成事件として立件する必要がある。
この問題で疑惑を晴らさなければならない責任を負っているのは安倍首相夫妻である。
とりわけ直接の当事者は安倍昭恵氏であり、安倍昭恵氏に対して公の場で説明責任を果たさせないことが問題長期化の主因である。
安倍晋三氏は籠池泰典氏に対して、いきなり証人喚問を実施することを指揮した。だからこそ、安倍昭恵氏の証人喚問が求められているのである。自分の行動がそのまま自分に跳ね返ってきているだけなのだ。

北朝鮮に拘束されていた米国人3名が解放されて米国に帰還した。その一方で、日本の拉致問題は1ミリも動いていない。
「圧力、圧力」と叫び、韓国の文在寅大統領が「対話」による事態打開に尽力しようとした際にも「対話のための対話には意味がない」と批判した。しかし、北朝鮮は拘束米国人3名を解放する一方で、拉致問題については改めて「解決済み」と言明している。
政治は結果において評価される面が強い。
拉致被害者の家族などの関係者は、安倍首相の対北朝鮮外交に対する憤りを強めていると推察される。

森友問題に安倍昭恵氏が関わっていることは明白な事実であり、安倍首相が疑惑の払拭を求めるなら、安倍首相が率先して安倍昭恵氏に対する質疑の場を設定するのが筋である。それが主権者国民に対する誠意ある対応である。
はたすべき説明責任を果たさず、逃げの一手で乱暴な国会運営を指揮する姿勢には、一片の品格も感じられない。

※続きは5月13日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第2038回「柳瀬唯夫氏国会証人喚問が必要不可欠」で。


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