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2018年07月03日 13:00

広域連携、海外ビジネスを模索する~北九州市下水道の過去と未来

 北九州市下水道は今年、100周年を迎える。下水道は、道路や水道と同じく都市活動に欠かせない社会インフラだが、日常生活で意識する機会は少ない「静脈」的なインフラだ。同市は1960年代以降の高度経済成長期に急速な発展を遂げたが、それと引き換えに、大気汚染や海や河川などの水質汚染などの公害問題を抱えるようになった。水環境の改善に大きな役割をはたしたのが下水道。63年に本格的な整備が始まった下水道は、継続的な拡張整備を経て、2006年に普及率99.8%に達し、概成する。維持管理の時代に突入後は、隣接する市町との広域連携や、ビジネス展開を見据えた発展途上国での海外支援など、新たな事業展開にも積極的に乗り出している。北九州市下水道の過去と未来について、レポートする。

福岡県初の下水道として1918年にスタート

漫画家の松本零士さんとのコラボによりデザインされたマンホール蓋

 北九州市の下水道は1918年7月、全国14番目、福岡県では初の下水道として今の若松区でスタートした。北九州市では、産業が発展する一方で、公害問題が深刻化。洞海湾は工場排水や生活排水によって赤や黄色に濁り「死の海」と呼ばれ、紫川は汚水と汚物が流れる「どぶ川」と化した。市民からは環境改善を求める声が上がり、市の対策の大きな柱が下水道の整備だった。

 北九州市が発足した63年、八幡西区で皇后崎下水処理場(現・処理能力17万7,000m3/日)が運転開始。それまで洞海湾などに垂れ流していた汚水などの浄化処理が始まった。その後、急速な拡張整備を進め、77年には普及率は50%を超えた。2006年に99.8%に達し、概成を迎えた。現在、下水管延長は約4,500kmで、5カ所の下水処理場、34カ所のポンプ場を抱えている。

普及拡張時代には用地取得に難航も

 普及拡張の時代には、用地取得に難航し、苦肉の策として、現在のメディアドームの前にあった公園下にポンプ場を建設した。また、下水道工事により家屋が傾いたり、ヒビが入ることもあった。担当職員は日中の工事監督の後、夜には工事補償の説明会を開くなど、さまざまな苦労を強いられたという。
 当時の下水道は、道路と同じで、建設にともなう受益者負担金がなく、使用料金もなかった。建設に必要な財源を確保するため、受益者負担金制度を導入。環境を守るためには、相応の費用がかかることを多くの市民が理解するようになった。

維持管理の時代に突入し、主な仕事は改築更新へ

 下水道概成後の大きな課題が、老朽化した下水管や施設などの改築更新だ。下水管の更新は、交通量の多い道路を通行止めにして、敷設替えをするわけにはいかない。時間や費用もかさむ。開削をともなわない管路更生による更新が主流だ。
 下水管更新にあたっては、管の敷設年、管内腐食などの進行具合を調査、把握。4,500kmの管のうち、6割程度の調査が完了している。早急に対策が必要な箇所から優先順位を付け、年間20kmペースで更新を進めている。
 かつての普及拡大の時代と比べれば、下水管の新設などの仕事は減っている。ただし、維持管理には専門的なノウハウが必要になる。引き続き、技術の継承を図っていく。新設に関するノウハウについては、隣接する自治体、海外での支援などの活動を通じて、職員の技術力向上を図っていく。

広域連携、海外展開通じて職員の技術継承も狙う

 16年12月から、北九州都市圏域の福岡県北東部16市町(直方市、行橋市、豊前市、中間市、宮若市、芦屋町、水巻町、岡垣町、遠賀町、小竹町、鞍手町、香春町、苅田町、みやこ町、上毛町、築上町)と連携し、下水道事業の広域化に関する勉強会をスタート。各都市が抱える課題の抽出や、下水処理場の共同維持管理など連携方策について、議論を進めている。

 姉妹都市であるベトナムのハイフォン市とは10年に、カンボジアのプノンペン都とは17年に覚書を結び、両市の下水道普及、水環境の改善のため、技術的な協力を行っている。ハイフォン市では、下水処理場の効率的な運転管理の技術向上に取り組む。浸水対策の支援も行っている。プノンペン都では、現地市民への水環境に関する啓発活動、現地下水道技術者の育成なども実施。そのほか、両国からの研修生も受け入れている。

 日明浄化センター内には、海外水ビジネスの国際戦略拠点として15年に「ビジターセンター」を開設。国際的な研修やセミナーなどを行っている。同浄化センターには、水循環システムの技術開発、実証などを行う「ウォータープラザ北九州」を10年に建設。これまで、GWSTA(海外水循環ソリューション技術研究組合)を中心に、下水処理水と海水をブレンドした省エネ型造水プラントの研究開発を行ってきた。

100周年記念式典を7月23日に開催

 上下水道局では、17~18年度にかけて下水道100周年記念事業を企画、実施している。7月23日には、記念式典を北九州国際会議場で開催するほか、11月3日には、「マンホールサミット北九州2018」を北九州芸術劇場などで開催。100周年の記念誌やPR映像なども作成している。

【大石 恭正】

<EVENT INFORMATION>
◯下水道100周年イベント
北九州市上下水道局は、下水道100周年を記念し、松本零士さん原作の「銀河鉄道999」のキャラクターなどをデザインしたマンホール蓋9種類を製作。5月19日、設置セレモニーを小倉駅JAM広場で開いた。デザインには、星野鉄郎やメーテルなど「999」のキャラクターなどを採用。小倉駅周辺、北九州空港に設置される。

◯関連イベント
下水道100周年関連のメインイベントとして、(公)日本下水道協会主催の「下水道展’18北九州」が7月24日から4日間、西日本総合展示場で開催される。期間中、301の企業団体が下水道関連技術などの展示ブースを設置するほか、研究発表会、国際会議なども行われる。来場者数は約4万人を見込んでいる。

 
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