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ビタミンのはなし(1)~伊藤 仁

2010年2月 1日 08:00

<ビタミンの発見から100年>

 ビタミンという言葉は、われわれの日常生活では誰もが、一日一度は活字で目にしたり耳にする最もポピュラーな単語のひとつだろう。ところが、ビタミンがいかに人間の健康に大きな役割を果たしているかというのをご存知の方は意外に少ない。
 たとえば、ビタミンCが壊血病を予防することは今では常識になっている。壊血病というのは毛細血管が破れやすくなり、歯ぐきや皮膚、消化管など全身に出血をおこす病気で、新鮮な野菜が不足していた15~16世紀のヨーロッパで猛威をふるった。喜望峰の航路を拓いたスペインのバスコ・ダ・ガマが率いる船隊では、船員の3分の2を壊血病で失ったといわれている。現在でも、歯ぐきから出血する人はできるだけビタミンCを摂ることを心がけて頂きたいものだ。
 今ではほとんど忘れられた話となっているが、20世紀初頭、今から100年ほど前のこと。アメリカ合衆国の南部では、トウモロコシをひいた粉を主食とし、その他の食べ物を摂れない貧しい農民にひどい皮膚炎、慢性の下痢、さらには脳障害から痴呆にまでなる病気で年間20万人が発症し、1万人近くが死亡する状態がつづいていた。これは「ペラグラ」という病気で、ビタミンB群の一種であるナイアシンの欠乏症だった。アメリカのゴールドベルガーが、ペラグラ患者の皮膚をすりつぶして自ら服用したり、患者の血液を自分のからだに注射したりして、ペラグラ欠乏がその原因であると主張して、多くの医学者のいう伝染病説に対抗したのが1926年のことだ。アメリカでペラグラ病から完全に解放されたのは、今からわずか50年~60年ほど前のことにすぎない。
 ビタミンCやナイアシンの2例だけでも、ビタミンが人間の健康と生活にどれほど大きな利益や効用をもたらすことができるか、ご理解いただけるのではないか。
2010年はビタミンがその名称を与えられてからちょうど100年になる。13種類のビタミンの発見とその歴史、さまざまな効用を次回からお話したいと思う。

(つづく)

<プロフィール>
伊藤 仁(いとう ひとし)
 1966年に早稲田大学を卒業後、ビタミンのパイオニアで世界最大のビタミンメーカーRoche(ロシュ)社(本社:スイス)日本法人、日本ロシュ(株)に就職。「ビタミン広報センター」の創設・運営に関わる。01年から06年まで(財)日本健康・栄養食品協会に在籍。その間、健康食品部でJHFAマークの規格基準の設定業務に携わる。栄養食品部長を最後に退任。

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