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ビタミンのはなし(4)-ビタミンCの発見と合成

2010年2月16日 09:52
伊藤 仁

 壊血病に柑橘類が有効なことは、18世紀頃から知られていた。イギリスの海軍軍医のリンドは1747年に、船員にオレンジやレモンを与えることによって、壊血病を防ぐことに成功。その後イギリス海軍は、ライム汁を船員に与えることで完全に壊血病を予防することができた。


 日本で「脚気はビタミンB1欠乏に起因する病気である」とする見解が主流になった1920年。イギリスのドラモンドは、柑橘類に含まれる浸透性が高く還元力の強い物質はビタミンの一種ではないかと考え、ビタミンCと呼ぶことを提案した。この物質の解明はなかなか困難であったが、ハンガリーのセント・ギオルギーが1928年に植物中の還元力の強い物質を副腎皮質から結晶として分離した。これがビタミンCとしての効力を持つことを発見したのが、1932年であった。まったくの偶然としか思えないことだが、同じ年にアメリカのキングがレモン汁からビタミンCを単離することに成功している。さらに、翌年の1933年にはイギリスのハワースが化学構造を決定し、同年にその有機合成が同年にスイスのライヒシュタインによって成功した。


 この合成法を基礎に、スイスのエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社がビタミンCの工業生産をスタートさせたのである。1934年のことだった。1939年にロシュ社は、日本へビタミンCの合成技術を提供する。
ビタミンCが健康に作用する役割としては、コラーゲンの生成促進、鉄吸収作用、抗酸化作用、抗動脈硬化作用、血圧調整作用、インターフェロンの産生、抗ウイルス作用、免疫増強作用、ニトロソアミンの生成阻止、抗腫瘍作用などが挙げられている。ほかの12種類のビタミンがヒトの体内で合成されるのに対し、ビタミンCだけはその合成にかかわる酵素(L-グロノラクトン酸化酵素)が遺伝的に欠損している。


 したがって、ヒトはビタミンCを野菜・果物類のビタミンC源を食することで、体内に取り入れることが必須である。ビタミンCの潜在的欠乏症は、ますます増加していると推測する。

(つづく)


<プロフィール>
伊藤 仁(いとう ひとし)
 1966年に早稲田大学を卒業後、ビタミンのパイオニアで世界最大のビタミンメーカーRoche(ロシュ)社(本社:スイス)日本法人、日本ロシュ(株)に就職。「ビタミン広報センター」の創設・運営に関わる。01年から06年まで(財)日本健康・栄養食品協会に在籍。その間、健康食品部でJHFAマークの規格基準の設定業務に携わる。栄養食品部長を最後に退任。

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