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表示規制の狭間で揺れる健康食品(6)~表示にすがる健食の功罪(下)「えがおの黒酢(5)」

2010年4月26日 11:08

アミノ酸の桶


 前回、『えがおの黒酢』のホームページ上に掲げられたグラフを参照しながら、3つの疑問のうちの2点について説明した。(1)グラフに示されている「一般の食酢」の種類を明示していない。またその量もはっきり規定されていない、(2)必須アミノ酸の含量にばらつきがあるために「アミノ酸の桶」の論理から適正な代謝が働かないのではないか――の2点である。「一般食酢の約120倍のアミノ酸でぜい肉の悩みに、さようなら!」という、えがおの宣伝キャッチコピーの下線部には疑問が残る。
 福岡市内で黒酢商品を扱う健康食品メーカーは、「ナンセンスの一言、これだから素人がつくる健康食品は怖い」と眉を曇らせた。冷奴(豆腐)にカツオブシを乗せる理由はそれなりにある。豆腐に少ないメチオニンやシスチンなどの含硫アミノ酸を補って、アミノ酸回路を適正なバランスに保つ役割を担っているのである。昔の人はやはり偉大である。
 それはともかく、いよいよ最後の1点、アミノ酸の含有量について検証するとしよう。
 グラフ上に示されている「2粒中1.134g(1,134mg)」の『えがおの黒酢』に含まれているアミノ酸含量をすべて加えていくと、437.8mgとなる。対して、『一般の食酢』のアミノ酸含量を合算すると3.6mgだ。したがって、『えがおの黒酢』437.8mgは『一般の食酢』3.6mgの121.6倍に相当するため、キャッチコピーの「120倍」という数字は妥当といえる。


体験談のマジック


 しかし果たして、このアミノ酸は黒酢そのものに含まれているアミノ酸なのだろうか?
 同社が3月に福岡市内の全国紙に折り込んだチラシには、黒酢の里「福山町」の名前や「こんなに実感した黒酢は初めて!」など、他の黒酢に対する優位性を想起させる文言が随所に散りばめられている。そこにきて「120倍のアミノ酸」がとどめを刺す。チラシに散在するキーワードを拾い上げるだけでも、「国産」「伝統を誇るブランド」「大豆ペプチドはカロリーコントロールの手助け」「ナットウキナーゼは体内循環の流れをサポート」「驚異的な数字(120倍)」「アミノ酸は必要不可欠な成分」「安心・安全」とあり、「美容と健康のために毎日飲み続けて昔の体型へ」「飲み始めて1ヵ月で実感」「気になるところがスッキリしてきました」――などと体験談が写真と名前入りで掲載されている。
 むしろ、とどめはわずか6例の「体験談」にあるのかもしれない。実によくできたチラシである。普通の消費者がこのチラシを目にしたら、「120倍」のアミノ酸が黒酢に含まれていると誤解しても無理はない。そのせいで痩せられる? ところが実際は違うのである。


2010年3月、福岡市内で全国紙に折り込まれたチラシ


▼関連リンク
「えがおの黒酢」ホームページ

(つづく)
【田代】
 

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