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薬学者が見た健康食品、ニセ薬はなぜ無くならないのか?(1)

2010年5月 1日 08:00

長崎大学副学長・薬学部教授 中島憲一郎氏 中島憲一郎教授は、覚せい剤関連化合物の研究に長年従事してきたこの分野の第一人者。2002年に死亡者まで出した、「中国製ダイエット食品」(無承認無許可医薬品)の成分分析も行っている。研究室では、「覚せい剤など乱用薬物の分析」「医薬品の適正使用に関する研究」「脳内神経伝達物質の分析研究」のほかに、「機能性食品の品質評価」も大きなテーマに掲げている。健康食品にも大きな関心を寄せており、これまでにも赤野菜やノニ、冬虫夏草などで分析研究を行なってきた。同氏に健康食品に関心を持ったきっかけや、健康食品の孕む課題、展望について聞いた。


中国製ダイエット食品を分析


 ――2002年、中国製ダイエット食品で死亡者が出た事件に関心をお持ちだったと聞いております。


中島 当時、やせ薬として覚せい剤が使用されることが多かったのです。やせ薬は覚せい剤に構造がよく似ているというのがわかっていたのですが、覚せい剤の類似物「フェンテルミン」とかダイエット効果のある「フェンフルラミン」というのが覚せい剤とよく似た性質のある物質でしたので、別の観点から調べていたのです。
 そうこうしているうちに、『セン之素コウ嚢』などのやせ薬で死亡者が出て、その原因になるものが何かということが厚労省の分析でニトロソセンフルラミンだというのがわかりました。それがたまたま私たちが研究を行なっていたものの誘導体の1つだったのです。私たちはそれがニトロソとは知らなかったのですが、フェンテルミンやフェンフルラミンの仲間のニトロソフェンフルラミンが危ないということがはっきりしたのです。フェンテルミンやフェンフルラミンなどと同じ誘導体の1つだということがわかりました。それは新しく作られた化学物質でした。ですから私たちは標品を持ち合わせていなかったのです。
 フェンフルラミンというのは薬としてつくられたのですが、肺の機能を障害するというのでアメリカでは使用禁止になっています。日本でも輸入してはいけないとなったのですが、ダイエット効果が結構あるために輸入してブラックマーケットで使用されていたのです。また、フェンフルミンというのはフェンフルラミンと一緒に使うと効果があるということもわかっていました。それで非常にいい薬だといわれていたのですが、フェンフルラミンは危ないということで、両方とも徐々に使われなくなってきていたのです。
 そのうち、健康茶などのなかにそういうものが混じっているというのがだんだんわかってきまして、痩せるといわれながらも、本来はその「薬」で痩せていたわけなのです。それで調べていたのです。
 それまでは肝機能障害などの報告は少しくらいありましたが、死亡事例の報告はありませんでした。ですがとうとう、複数の死者が発生したものですから、私たちもニトロソフェンフルラミンを合成して、一連の健康食品に同様のものが含まれていないかどうか調査しました。それと、ニトロソのほうはなかなか分析するのがむずかしいのですが、それが体に入るとフェンフルラミンになるものですから、動物を使って研究を進めました。またそれが体に入っていないかどうかを毛髪で調べました。
 動物で調べたデータを出していたら、日系の中国企業から自社でそれを使って健康を害している者がいるようだ、本人は会社環境が悪いせいだと言うけれども調べてくれという依頼がありました。調べてみたところ、会社側の主張どおりにフェンフルラミンが出てきて、2年にわたって常用していることがわかったのです。そういう問題が解決できたということがありました。
 当時、長崎の駅前で化粧品の景品として「痩せますよ」と宣伝して配られていた痩身用健康食品(無人承認無許可医薬品)がありました。調べたところ成分が検出されましたので、県に報告したことがあります。

(つづく)

【聞き手 田代 宏】

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