2024年04月19日( 金 )

不動産業の「一歩先」へ~シェアオフィス The Company

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

働き方や組織のあり方 考えるキッカケに

 昨年12月、国内最大級のシェアオフィス「The Company(ザ・カンパニー)」が福岡市博多区にオープンした。The Companyはキャナルシティ博多に面したマンションの1~2階部分を活用しており、約200坪の1階部分はフリー席中心で契約者(入居者)が自由に使用できるテーブルやイスが並ぶほか、会議室や電話の内容が聞かれたくない場合に使える「フォンブース」なども備える。
 また、約160坪の2階部分はオフィステナントスペースとなっており、1階部分の機能をすべて利用可能だ。

独自SNSで仕事が発生する

(株)Zero-Ten 栗原 聡 プロデューサー

 The Companyを運営する(株)Zero-Tenのプロデューサー栗原聡氏は、「コミュニティ促進のため、SNSやフリースペースでのそれぞれでの交流に加え、イベントスペースではトークセッションや音楽イベントなどを開催していますが、あくまでもThe Companyの最大の特徴は、『仕事が発生する』ところです。入居者には独自SNSのアカウントが付与され、そのアカウントを使って仕事の受発注が行われています。これまでにはwebサイト制作やシステム構築、映像制作、イベント運営などさまざまな仕事の受発注がありました。オンラインだけでもオフラインだけでもない、働き方や組織のあり方を考えるキッカケになれたらいいなと思います」と話す。

 同社ではThe Company事業のほかにも、イベント企画や動画制作などデザインに関連する事業を手がけているが、「2階のオフィスが満室であることやフリー席の入居者さまからも多くの問い合わせをいただいており、おかげさまでThe Company事業の収益は黒字です。今後はマルチロケーションをテーマに、国内外問わずThe Companyを多店舗展開していきます。仕事を通じて世界各地に緩い結びつきを持ったいろいろなチームが広まっていけばいいですね」(栗原聡氏)と話し、12月には福岡PARCO新館に2店舗目が開設される予定だ。

プロジェクトごとでチームを組成

 The Companyの着想はZero-Ten社長の榎本二郎氏が手がけてきたプロジェクトにおいて、外部ブレーンなどから組成されたチームが、コミュニケーション次第で仕事のクオリティが変化した経験に端を発する。それぞれ普通の会社のように所属は異なりながらも、プロジェクトごとに「会社」のようにチームで仕事をする「スイミー」のように、小魚が集まって大魚となる場をつくろうというものだ。
 組織や就業への価値観が多様化するなかで、シェアオフィスへの注目も集まっているが、シェアオフィスというビジネスモデルは、「不動産事業」の域を出ない場合が多い。The Companyは「仕事を通じたコミュニティのための場」という位置づけであり、マルチロケーションを標榜する同事業の今後の展開から目が離せない。

【永上 隼人】

<INFORMATION>
The Company キャナルシティ前(1号店)
所在地:福岡市博多区祇園町8-13 第一プリンスビル 1・2F
敷地面積:約 400 坪

The Company 福岡 PARCO(2号店)
所在地:福岡市中央区天神2-11-1 福岡 PARCO 新館 5F
敷地面積:約 300 坪

 

関連記事