財団は町の実働部隊~自由な発想と行動力で、町を活性化させる
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新富町 町長 土屋 良文 氏
――こゆ財団を設立した目的は。
土屋 町長として行政のトップにいながら、アイデアをすぐに実行できないのが行政の実態です。だから考えをすぐに実行に移せる、いわゆる実働部隊の創設をずっと考えていました。小さな町ですが、議会を通す、予算をつけるということをやっていると、あっという間に時間が過ぎていきます。しかし、町の課題を解決するためにはスピード感が必要なんです。
――スピード感を大事にされている背景には、人口減少への危機感があるのでしょうか。
土屋 当然、危機感はありますが、それは「人口は減る」という覚悟と前提を持った危機感です。人口をある程度の数字で食い止めて、その人口規模に沿ったまちづくりをする。現在の人口は約1万7,000人ですが、1万5,000人前後まで減っても維持できるまちを想定しています。
そのための、農業への原点回帰なんです。そのためには魅力ある農業にしなければなりません。農業って、実は儲かるんですよ。昔は朝から晩まで働いていましたが、今では自分の時間も持てるようになりました。ただ、これまでのように作物をつくるだけではダメで、自分がつくったものが最終的にどこでどんな人たちに食べられているのかを意識しながらつくり、経営しなければなりません。それを学べるような講座も町が運営しています。
――町長の理念に対して、財団ではリ・ブランディングのような手法でアプローチしようとしています。
土屋 たった半年でよくここまでやってくれたと、驚いています。まずはライチをブランド化しました。国内のライチは、実はほとんどが外国から冷凍で輸入されたものですが、新富町の生ライチは鮮度も味もまったく異なる、ライチの概念を変えるものです。町としてできなかったことを違う方法で実現したので、農家が大喜びしていますね。
これから財団に期待するものは、農家の後継者も含めた人材の育成です。人を育てれば、そこから何か新しいものが生まれてくる。そのためには教育分野にも入ってもらいたいし、青年たちを再教育して新しい事業を起こしてほしい。
国の財政状況を見るにつけ、地方自治体が国にどこまで頼れるのかは先行き不透明だと感じています。今こそ自治体としての力をつけなければなりませんが、そのときにいう「力」とは、やはり経済力です。新富町に強い地域経済をつくるために、人材を育成して新しい産業を起こすことを、財団と町が力を合わせて実現したいと思います。
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