第一施設工業は新宮町の本社工場を約2倍に増設、1月から操業を開始した。半導体や液晶工場向けの搬送装置の増産体制を整え、この分野での圧倒的なシェアを確立する。
所在地:新宮町大字上府776-1
代 表:篠原 統
資本金:8,750万円
設 立:1967年7月
年 商:(08/1)27億円
能力倍増
本社工場に隣接して2階建て・延べ床面積約2,310m2の建物を1月建設した。完成後の工場棟屋の総延べ床面積は2倍の4,600m2。投資額は約3億円。増設に伴い、新たに従業員10名を採用する。
半導体工場や薄型テレビに使われる液晶、プラズマ工場向けの搬送装置「リフター」を増産する。薄型テレビは世界的に需要が急増しており、国内メーカーは新工場を建設、増産に乗り出している。松下電器が尼崎市にプラズマ工場を増設するのをはじめ、シャープが三重県亀山工場に続き、堺市に液晶工場を新設中。
第一施設工業は、半導体工場のクリーンルーム向け搬送装置では8~9割の世界シェアを持つ。半導体は搬送中にわずかな塵の侵入が許されず、無塵無菌状態で管理する必要がある。同社のリフターは、無人無騒音でクリーン度は極限に近いという。性能が世界の有力メーカーに評価され、国内のほか半導体工場の集中する韓国、台湾に輸出している。
ただ、半導体は市況変動が激しく、設備投資に踏み切りにくかった。同社も、昨年7月までは絶好調だったのが8月から台湾、韓国のメーカーが一転して生産調整と設備投資抑制に踏み切ったため、受注が急減。08年1月期売上高は27億円と4億円の減収を余儀なくされた。
そんななかで、工場増設を延期する選択肢もあった。あえて踏み切ったのは、液晶・プラズマの新工場がいっせいに増産に入り、現有能力だと受注をさばき切れなくなることが予想されるため。2番手以下の付け込む隙を与えず世界シェアを磐石にする狙いもある。
篠原社長の予想した通り、昨年暮れから受注が急増し始めた。今期は積極投資が実を結ぶことになりそうだ。
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