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コダマの核心

2010年は激変してこそ残る(21)~『ドラマ多し』のデベロッパー業界で40年生き残った新栄住宅(中)
コダマの核心
2010年2月16日 08:00

<平成の時代を生かして>

 平成の新時代に突入した頃、まだまだ新栄住宅は業界のオピニオンリーダーではなかった。自己資本率の高い堅実な経営をしていることにかけては、一目も二目も置かれている存在であることに違いはなかった。マンションデベロッパーでは東峰住宅産業、東洋開発、ソロンなどが派手な動きをしており、戸建建売では大蔵住宅、興栄ホームなどの暴れっぷりが注目を浴びていた。しかし、平成2年、1990年8月をピークに不動産バブルが弾けた。
 平成の時代に入り、同名ながら全く違う3社の「平成建設」が現れる。1社目は前原の金城建設が改名した「平成建設」。2社目は博多区にあった西日本ハウス工業が改名したもの。3社目は遠賀郡にあった石田建設興業から商変したものである。平成22年になって生き残っているのは糸島市(旧前原市)の「平成建設」のみ。西日本ハウス工業が社名変更した「平成建設」は、素晴らしい住宅ブランドを誇りながらアパート一棟売りに欲を出して倒産した。残念無念である。
 不動産バブルの破局は、1991年の秋から本格的な影響が出始めた。同年11月、興栄ホームの会社更生法申請は関係者にショックを与えた。同社の社長・花田氏は気配りのできる新進気鋭の経営者と評価されていたが、結局、多重住宅ローン詐欺で逮捕され実刑判決を受けた。興栄ホームと張り合っていた大蔵住宅の場合、翌92年2月に坂本社長が服毒自殺を図っている。1位、2位のトップが潰れ業界は致命的な打撃を浴びた。

<新時代にニュー企業が現れる>

 バブルは弾けても実需は確実に増えていた。政府が内需拡大のための筆頭政策として住宅建設の喚起に重点を置いていたからだ。しかし、バブル時代の負の遺産を抱えていた業者は繰り回しをしつつも段々と息切れが目立ち始める。一世を風靡した舛田住宅(中央区)も瞬く間に消滅し、業界のドンである東峰住宅産業(博多区)と、その片方の柱、東洋開発も法的整理を行った。これに新生住宅も続く。高級ブランドを売り物にした住まい、中級価格帯を開拓したじゅう(本社・中央区)、アーサーホーム(中央区)のいずれも野垂れ死にの運命が待っていた。
 一方、要領よく事業を休止し、家賃管理業に専念したのがライフエステート(中央区)である。これは素晴らしい見切りであった。そして、同業他社と比較して新栄住宅は、さほど負の遺産の償却に追われなかった。むしろ、この時期に内部蓄積を充実させたのである。
 今回の第二次バブルは需要も半減してどの業者も淘汰の脅威に戦々恐々としている。前回は違っていた。冒頭に指摘した景気浮揚の策として住宅増のテコ入れがあったため、需要はそこそこにあった。不動産市況も活発だ。こういう上り調子の時代には身軽な業者が強い。負の遺産がない若手企業が、短期間で躍進するフィールドが整備されている。ここでアパマンネットワーク、シノケン、ディックス・クロキという上場企業が登場したのである。前回のバブル時代には誰もが上場に挑んだが、達成に失敗していた。
 圧巻はタマホームの出現だ。11期で連結1,600億円に迫る規模の住宅会社に成長した。瞬く間に東京に進出して注文建築の分野ではセキスイと互角の勝負をするまでになった。新分野でなくオールドな業種、つまり、ただ愚直なまでに住宅を請ける(売る)ビジネスモデルで全国制覇に挑んでいるのだ。聞くところによると、アメリカ進出も視野に置いているという。10年という期間は意外と長い。躍進する企業にとって充分すぎる時間なのだ。
 この期間も新栄住宅はマイペースを堅持していた。

(つづく)


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