以下は、2009年2月9日の福岡県議会文教委員会の議事録からの抜粋である。
添島学事課長「大学施設の住民への開放等を踏まえ、移転計画がある女子大隣接の福岡市東市民センター、二ページをお願いしたいと思います、この敷地を大学用地として優先譲渡することについて配慮する意向を示しております。この土地を利用することで、ゆとりある施設の配置が可能になるものと見込んでいるところでございます」(原文のまま)。
県議会で一言も触れられなかった香椎幼稚園とは違い、移転後に公立大学法人福岡女子大学(以下、福岡女子大)へ土地を譲渡するとして、名前が出たのが『福岡市東市民センター』である。
その同センターの移転計画を調べたところ、冒頭の報告内容に対する不信感がますます高まった。
移転計画を所管しているのは、福岡市総務部施設整備課である。同課によると、「08年1月の『公共施設用地の整備にかかる取組方針』において、同センターを千早地区へ移転する方針がある」という。だが、具体的な計画については、2012年度『政策推進プラン』で決めるとされており、現時点ではいつ移転するかも決まっていないというのだ。
つまり県学事課は、改革計画に伴う福岡女子大の立地場所について、“いつ空くか分からない土地”には言及し、香椎幼稚園の敷地には触れなかったということになる。なお、09年2月中旬、県学事課は麻生県知事を通じて、福岡市総務企画局企画調整部へ同センター敷地の優先譲渡を正式に要請している。
同センターは、77年7月に建てられた福岡市初の市民センターである。築32年の建物は老朽化し、規模も小さく設備も悪く、交通の便も悪いことから利用状況は極めて悪い。現在の方針では千早地区へ移転するというが、東区民が利用しやすい場所へ移転することに異を唱えるものは少ないだろう。存続を願う人が大勢いる香椎幼稚園とは全くもって対照的である。
(つづく)
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