NET-IB NEWSネットアイ

ビーニュース

脱原発・新エネルギーの関連記事はこちら
純広告用VT
カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

最新金融情報

アジア太平洋マネジメントからの金融に関するアドバイス(3)
最新金融情報
2010年12月16日 08:00

<情報の非対称性>

アジア太平洋マネジメント 代表青木道生氏 大学などで論ぜられるようなアカデミックな議論を抜きにすれば、貸付市場において「貸手と借手の情報量・質が同一レベルでは無い」問題のことを指す。
 通常、貸手である金融機関よりも、借手である企業サイドが、当該債務者(つまり「借手」)に関する情報の保有量・質共に上回っていることは、一般的である。
 この時、貸手(金融機関)サイドは、新規取引であるならば当該企業の経営・財務データなどの情報収集を行なわなければならず、貸出を行なうまでにより多くの「トランザクション・コスト」を要してしまう。
 従来より取引を有していた金融機関についても、月次レベルでの情報提供を借手サイドより行なっていなければ、資金調達の申し出の都度、当該金融機関は情報収集のためのコストを費やすこととなる。
 貸手と借手が存在して成立する「貸付市場」を考える上で、この「情報の非対称性」を如何にして最小化するかという考え方が、「リレーションシップ・バンキング」(以下、「リレバン」という)の前提となっている。

 リレバンとは、2003年に金融庁がそのアクション・プログラムを定め、金融機関各行に中小企業金融における「情報の非対称性」の最小化(情報量格差の是正・最小化)を目指し、「金融機関のコンサルティング機能」を最大限に発揮することを目的とした制度である。
 民主党政権となり施行された「中小企業金融円滑化法」は、そもそもリレバンが、すでに機能しているという前提のもとで制度設計・施行された法律である。
 
 現在の地方銀行・信用金庫のスタンスは、「リレバン」と「トランザクション・バンキング」(以下、「トラバン」という)が混在したものとなっている。「トラバン」とは、審査プロセスを単純化・平準化し、たとえば財務データをシステムに投入し、自動的に算出されたスコアリング(点数)に基づいて融資の可否を決定する、というような手法である。前提として、地銀・信金の審査モデルが「トラバン」に基づいた設計となっているものではないが、金融庁の「金融検査マニュアル」における「自己査定」の厳格化などにより、近年ではより「定性的側面」よりも、「定量的側面」が重要視されている傾向は、顕著である。
 従って、「リレバン」の推進を組織レベルで行なってはいるものの、制度設計自体の歪みが生じ、政策的に求められているレベルの「リレバン」が実行できていないなかで、「中小企業円滑化法」の運用が始まった。元本返済猶予を行なった中小企業は、原則論からすれば、返済猶予期間中に社内体制・ビジネスモデルなどの見直しを行ない、返済が開始された後の約定返済に耐え得るだけの「キャッシュフロー」レベルを高めることに、本来的な意義がある。

 ここに、「未完成版・リレバン」が前提として存在することにより、制度設計そのものに歪みが生じている(または今後、生じる可能性がある)と考察している。
 「情報の非対称性」の最小化を目指した、「金融機関のコンサルティング機能の発揮」を望む。

(つづく)

COMPANY DATA
アジア太平洋マネジメント
北九州市八幡西区永犬丸2丁目13番43号
URL:http://www.aphd.jp
連絡先:info@APHD.jp

*記事へのご意見はこちら

関連記事

powered by weblio


最新金融情報一覧
最新金融情報
2011年8月16日 13:30
最新金融情報
2011年3月17日 10:30
最新金融情報
2011年1月 6日 13:00
最新金融情報
2011年1月 6日 10:37
最新金融情報
2011年1月 5日 13:00
最新金融情報
2011年1月 4日 13:00
最新金融情報
2011年1月 3日 13:00
最新金融情報
2010年12月27日 17:45
純広告VT
純広告VT

純広告用レクタングル


IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル