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長年の功績を省みない冷酷な処置~『秀望のツツジ』護り人の悲劇(2)
社会
2011年1月12日 08:00

『希望のツツジ』 熊本県人吉市上戸越町の山中にある『秀望のツツジ』が満開となる頃、鮮やかに咲き誇る姿をひと目見ようと、多数の観光客が訪れる。1度行けば分かるが、道中は決して楽な道のりではない。山のふもとから、車1台がやっと通れる細い山道を約10分近く登り、車を停めた場所からさらに5分ほど歩いた場所にある。その道を無償で整備してきたのが、福岡秀男氏をはじめとする十数人の護り人、市民ボランティアの人々だ。

 高齢となり、今は足を悪くしてツツジの元へ行くこともままならなくなった秀男氏。「無断で占有した」とする人吉市の言い分に、怒り心頭に達した。「勝手にしたというのなら、木を切るのも勝手じゃろうが!」―ツツジを切って、自分も死ぬという秀男氏を家族が必死になって止めた。
 秀男氏とツツジの因縁は深い。ツツジの木が生えている場所の周辺には、そもそも秀男氏が所有していた土地があった。それを1979年12月25日、80年2月27日に市へ売却。そして別の土地所有者が85年1月14日に売却したことで、ツツジ周辺は市有地となったのである。

 先に触れた、人吉市が2001年に建てた『秀望のツツジ』の案内板には、秀男氏とツツジの関わりについて以下のように書かれている。「このツツジをひとりで、50年近く守って、周囲の草やツタ払いなどの世話をしてきたのが、かつてこの集落の住人でもあった、福岡秀男氏(下戸越町)である」。前市長の時代は、感謝されることはあっても「無断で」などといった物言いをされることはなかった。もちろん、秀男氏ら護り人が、決して自分のためにツツジの手入れや山道の整備をしていたわけではない。

 ツツジが生えている周辺は、古くから山伏(修験者)たちの修行の場として、現在もなお修行に訪れる僧侶は多い。ツツジの根元には3人の山伏が眠っているという言い伝えがあり、ツツジの枝を折って持ち帰ると崇りがあるといわれている。
 昔、秀男氏は山にあった直径70センチくらいの丸い石を持ち帰り庭石にしたところ、突然狂ったように暴れ出した。ちょうどそのとき、山を訪れていた僧侶が「その石は山の神さまが宿っているからすぐに元の場所へ戻しなさい」と忠告。家族が石を元の場所に戻したところ、狂乱状態はおさまったという。
撤去命令が出ている御堂 そうした経験もあって、秀男氏ほかツツジの護り人たちは、ツツジの木とその周辺を神聖なものとして自ら進んで整備してきたという。市から"妨害物"といわれ、撤去しなければいけない御堂も信仰によるものだ。なお、仏像や地蔵を祀った御堂はほかにも3カ所あるが、撤去命令が出ているのは1カ所のみである。

【山下 康太】

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