高級クラブやキャバクラなどの飲食代が政治資金の支出に含まれていたことで、新聞やテレビのワイドショーで一躍時の人となった農林水産副大臣の岩本司参議院議員(福岡県選挙区)。問題とされた支出に関しては、岩本議員から政治資金管理団体へ返還されるとのことだが、同議員の政治資金に関しては、ほかにも『謎の部分』がある。
政界関係者が一様に首をひねっているのは、その政治資金の入りの部分。岩本議員の政治資金管理団体「岩本つかさ後援会」は2010年、約3,100万円の政治資金を集めたことになっているが、約1,700万円であった前年(09年)の収入からいかにして倍増させたのかが『謎』とされている。
同後援会の収支報告書によると、岩本議員は、10年に政治資金パーティー(以下、パーティー)を5回開き、約3,100万円の収入(うち24万円は前年のパーティー)を得ている。そのうち、東京と大阪で開かれた計3回のパーティーにおいて、パーティー券を会場の収容人員以上に販売するいわゆる「過大販売」が行なわれていた。
会場定員以上にパーティー券を売っていたのは、東京で行なわれた(1)「南風月の集い」(収入892万円)(2)「暮来月の集い」(同962万円)と、大阪で行なわれた(3)「秋麗の集い」(同460万円)。同後援会の会計責任者は、東京や大阪で売られたパーティー券が1枚2万円(ちなみに、福岡県で行なわれたパーティーは1枚1万円)だったことを認めている。
次に、会場となったホテルへの取材によれば、各会場の収容人員は正餐形式で(1)150名(立食200名)、(2)100名(同200名)、(3)120名(同120名)。
前述の会計責任者は「パーティーの各収入額をパーティー券の価格(2万円)で割った数を販売枚数と考えてよい」と明言しており、このことから販売枚数は(1)446枚、(2)481枚、(3)230枚となる。明らかな過大販売(最大4.81倍)だ。
これらのパーティーに出席した人数や形式などの実態について、会計責任者は「(当時の様子を知る)東京の秘書が9月にやめたため、わからない」としており、現在、記録や関係資料を捜索中だと言う。また、各会場の収容人員よりも多い枚数のパーティー券を販売したことについては、「当日、来られない方もいますので、多めに売りました」「パーティー券は岩本議員と2名の秘書(計3名)で販売した」などと説明している。
一方、岩本議員が東京や大阪で開いたパーティーについて、ほかの国会議員からは「1枚2万円のパーティー券を地元でもない東京や大阪で、そんなに売るとはスゴイ!」と、驚きの声があがる。
会場の定員以上に売られたパーティー券代は、事実上の「献金」と見るべきで、岩本副大臣に説明責任が求められているのは言うまでもない。
※収支報告書の画像にある下線(赤)はNET-IB編集部によるもの。
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