<戦争の形態を大きく変えるサイバー攻撃>
これからの戦争の形態は、相手の情報通信基盤を無力化するサイバー攻撃から始まるだろう。サイバー攻撃はかつての上陸作戦の前に行なわれた「艦砲射撃」に相当する。敵の防衛システムを麻痺させ、あるいは一部の防衛システムや指揮通信網を無力化した後に奇襲攻撃を仕掛ければ、自軍は損害を最小限にとどめて目的を達成することができる。
戦時に情報通信基盤がダウンさせられ、戦場で指揮通信システムが使用不能に陥った場合、軍は組織的かつ効率的な戦闘は不可能となる。サイバー攻撃は、航空機による大規模な爆撃や、巡航ミサイルによる精密爆撃、あるいは特殊部隊による破壊工作よりも効果的かつ瞬時に相手の戦闘能力を奪うことができるのだ。
サイバー攻撃は、相手に致命的な打撃を与えながらも、一般国民はもとより、敵国の兵士を殺傷することなく、また重要施設などの物理的破壊をともなわないので、国際社会の非難をかわしやすい。しかも、通常兵器どうしの戦闘とは違って戦費はほとんどかからないという大きなメリットがある。サイバー攻撃は、今後の戦争形態を大きく変え、絶大な力を発揮することになるに違いない。
<自衛隊はサイバー攻撃に対応できるのか>
防衛省は、平成23年版防衛白書のなかで、サイバー攻撃を「国家の安全保障に重大な影響を及ぼし得る」とし、自衛隊はファイアーウォールの導入や防護隊による監視の強化などサイバー対処技術の研究などを行なうとともに、システム防護隊や指揮通信システム隊などを新編するなどサイバー攻撃への対策を講じているものの、本格的なサイバー攻撃には現時点では対応できないのが現状である。
また、日本は安倍政権下で日本版NSC(国家安全保障会議)が議論された際、防諜組織である「対外情報庁」も俎上に上がったがいまだ棚上げにされたままである。スパイ行為を犯罪とするスパイ防止法もない。電波法や出入国管理法といった周辺法で対応するのみで、事実上、スパイ活動を野放しにしてきた。日本を虎視眈々と狙う相手は、日本のサイバー攻撃対策を待ってはくれない。
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<プロフィール>
濱口 和久 (はまぐち かずひさ)
昭和43年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、民主党本部幹事長室副部長、栃木市首席政策監などを経て、現在、テイケイ株式会社常務取締役、国際地政学研究所研究員、日本政策研究センター研究員、日本文化チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」キャスター、拓殖大学客員教授を務める。平成16年3月に竹島に本籍を移す。『思城居(おもしろい)』(東京コラボ)、『祖国を誇りに思う心』(ハーベスト出版)などの著書のほかに、安全保障、領土・領海問題、日本の城郭についての論文多数。 公式HPはコチラ。
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