<国を挙げての復活劇>
米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)が、2011年12月期決算で純利益約76億ドルと過去最高益を出した。
09年に経営破たんしたGMだが、米政府は、500億ドル(当時約4兆7,000億円)の公的資金を投入し、国を挙げて、長きに渡って国の経済を支えてきた大企業を立ち直らせた。1年半後の10年11月に再上場を果たした。米国だけでなく、中国などの新興国での販売を順調に伸ばし、今回の好決算に至った。
北米市場では、10年1月ごろに吹き荒れたトヨタバッシングによりダメージを受けたトヨタが沈み、その分、GMが浮上する形となった。これが、アメリカの豪腕か。
車種のモデル数を減らして、その絞り込んだモデルに資本を集中して投下したため、品質の向上につながり、顧客満足度が高まった。世界の年間販売数でも、トヨタを上回り、4年ぶりにトップの座に返り咲いている。
同社は、この好決算を受けて、約4万5,000人の時間給労働者に対し、最高で7,000ドルの利益分配(ボーナス、約55万5,000円)を支払うとしている。
<グローバル戦略でリード>
新興国のなかでも中国で高い競争力を獲得し、販売数も上々の伸び。上海汽車集団など現地メーカーと提携を強化し、ライバルを出し抜く。今後、電気自動車など新車への投資で不安を抱えているものの、上海汽車集団との合弁で、電気自動車の開発や、インドでの生産、販売にも積極的に乗り出し、アジアでの競争激化に布石を打っている。
このGMの業績の好調さは、アメリカ経済全体の復調と雇用状況の改善、さらには政府の経済政策の奏功を印象付けさせ、オバマ大統領の再選にも好影響を与えると見られている。
自動車業界では、独ダイムラーが過去最高の純利益となる好決算を発表したほか、米フォード・モーターなどの大手が堅調さを取り戻し、韓国の現代自動車にも勢いがある。円高に泣く日本勢には厳しい風が吹いている。
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