太陽光発電につづき実用的な再生可能エネルギーとして注目を集める風力発電。そして、小型で優れた効率を誇る風レンズ風車を扱う企業が、ここ福岡にある。九州大学で開発され、シーサイドももち(福岡市早良区)には福岡市との共同研究のため3基が設置される風レンズ風車。その製造・販売などを手がけるウィンドレンズ(株)の高田佐太一社長に話を聞いた。後編。
――実用的な再生可能エネルギーとして注目される太陽光発電と風レンズ風車ですが、違いはどんなところにありますか。
高田 太陽光発電と一番違うところは、良い立地に建てれば、太陽光を超える効率が得られるという点です。反面、太陽光もそうですが、状況によって発電できなくなるのが化石燃料との違いでもあります。しかし、その問題はバッテリーが穴埋めしてくれます。風力発電を最も建てやすいのは、海岸線です。日本は非常に長大な海岸線を持っています。それから、標高が高い山間部も風が強いので、好立地と言えるでしょう。
――この先、販売を拡大するうえで、どのような戦略を考えていますか。
高田 風レンズ風車は実用として発電ができるだけでなく、設置することによって視覚的に環境活動をPRすることができ、民間企業さんにとっては一石二鳥だと思います。海岸沿いに事務所や敷地を持っている会社さんに、良さを知ってもらいたいです。
また、台数が増え始めれば、太陽光と同じようなレベルになり、一般家庭にも入っていけると思います。今はコスト的にも太陽光の方が入れやすいので、それを横目に見つつ開発を進めていこうと考えています。
小さな風車は、「マイ風車」とでも言いますか、自分の敷地のなかに建てるというのが良いと思います。つまり、エネルギーの地産地消ということです。
――風力発電が向いている地域というのはありますか。
高田 北海道や東北がそれに該当します。なぜかと言うと、太陽光発電というのは昼間しか発電できませんが、風力発電は日照時間に左右されません。よって、冬場の暖房需要に強いと言えるでしょう。北海道や東北は暖房需要が6カ月と長いですし、季節風がよく吹くので良いのです。もちろん、設置するのは全国どこでも条件さえ合えば可能ですが、電気を使う時期まで考えると、最も適しているのがそういった地域になります。
――最後に、3.11を経た日本のエネルギー事情の今後の展望について、お聞かせください。
高田 太陽光発電や風力発電というのは、3.11の前からずっと右肩上がりを保っている珍しい産業です。その要因の根底には、やはり原油やウラン燃料がいつかは枯渇するというバックグランドがあるからだと思います。そして、日本は地震の国なのにも関わらず、原子力という道を選んでしまいました。日本でそれを推進するということに、無理があったのだと思います。再生可能エネルギーにシフトするべきなのです。
人口を多く抱える後進国の発展などを考えれば、化石燃料を取り合うような事態は避けねばなりません。集中型のエネルギーを分散し、自給自足することが大事だと思います。
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