一人あたりのGDP3万3,400ドル(2010年IFM発表)を1ドル80円で換算した場合267万2,000円となる。これを避難者数と掛け合わせた数値が避難したことによって失われる生産と言えるかも知れない。原発から20キロ圏内にいる12万4,000人の生産は、年間3,310億円となる。もっとも、避難した方々がすべからくずっと失業するわけではないので、かなりの範囲の誤差が生じるだろう。しかし、目安としては十分ではなかろうか。
土地も問題だ。半径20キロで円を描くと1,256キロ平方メートル(1キロ平方メートル=100万平方メートル=100ヘクタール。したがって12億5,600万平方メートル=12万5,600ヘクタール)となり、そのうちのおよそ4分の3が海だから、およそ300キロ平方メートルが立ち入り禁止によって使用不能に。自然豊かな山林が玄海原発の周辺には広がっているため、除染作業は困難をきわめるだろう。人が暮らす地域、田畑などは除染できるかも知れないが、すぐ近くに放射線濃度が高い場所があるのは、ぞっとする話である。
除染が難しい場所は大々的に、それこそ地図の等高線を変えるくらいの大工事をするか、もしくは放置するしか道はない。もし、放置した場合、数年、もしくは数十年、ひょっとしたら数百年の間は住めない場所になってしまう可能性がある。当然、望んで買う一般人はいないだろう。原発を設置した責任のある電力会社か国かが買い取るなり借り切るなりしなくては、土地所有者としては間尺に合わないと感じるかも知れない。その場合の費用負担はできるのだろうか。疑問が残る。
産業も打撃を受けることになるだろう。直接的な被害を受けるのは工場などの生産施設だ。20キロ圏内には唐津市の工場群が入る。食品関係を中心に大小さまざまな工場が立地している。自動車やハイテク産業のように、万一の際であっても他地域の生産ラインに与える影響は少ないかもしれないが、食品という関係上、生活には多大な影響が現れるだろう。トヨタ系部品などをつくる企業も唐津市にはあるが、その工場は20キロ圏内に入っていない。
社会に最大の影響を与える生産施設は、おそらく九州電力・唐津発電所だろう。87万kw級の火力発電所である。玄海原発が事故を起こすと、この発電所での発電も危ぶまれる。電力はひっ迫し、九州中の人々に、さまざまな業種に悪い影響を与えることが予測される。
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