ヘリウムの原子核であるアルファ線は、電子を持たないため、それ自体がプラスの電荷を帯びている。したがって、物質と触れたときに、触れられた物質の持つ電子(マイナスの電荷)に影響を与えてしまうのだ。いうなれば、原子にとって非常に大きな一撃を与える放射線なのである。
アルファ線の次はベータ線だ。ベータ線はベータ崩壊という原子核の構成要素「中性子」が壊れることで発せられる電子である。中性子が、陽子、電子、ニュートリノに分解される際に飛び出す電子の描く軌跡こそがベータ線の正体である。天然ウラン、セシウム137などがベータ線を(「も」と書いた方が正しい)出す。透過力はアルファ線よりも高いものの、数センチのプラスティックで遮蔽することができる。ただし、ベータ線がぶつかった先の物質から、エックス線が発生するため、エックス線からの防護として鉛板などの質量の大きい物質を壁として併用することが多い。
放射線は他に、ガンマ線、中性子線、エックス線がある。アルファ線を出すなどして、原子が変化してしまった後に原子のなかに残ったエネルギーが電磁波となって放出される。これがガンマ線である。ガンマ線は透過力が強く、遮蔽のためには10センチの鉛板が必要とされている。透過力は高いけれども、アルファ線に比べると電離作用が低い(放射線荷重係数。後述)。エックス線もガンマ線と同じく電磁波の一種だが、ガンマ線が原子核内の残存エネルギーの放出であるのに対して、エックス線は電子ビームなどを当てて電磁波を起こすものである。両者の差は発生源に由来するだけである。
中性子線は原子核の構成要素、中性子が飛び出す軌跡のことだ。中性子は電荷を持たない代わりに、熱を帯びた中性子となったり、ぶつかった先の原子を放射性物質に変えたりする。また、生物にぶつかった場合の影響も軽微とは言えない。遮蔽のためにはぶ厚いコンクリートや水などを用いる。
そのほか、陽子線など多くの放射線がある。これら放射線は、程度の違いこそあれ、生物に何らかの影響を与えることは間違いなく、多く浴びることで死に致ることもある。したがって、原子力を用いる発電では、これらの遮蔽がもっとも重要な要素となるのである。
ただし、これら放射線の種類によって、生物に与えるダメージはそれぞれ異なる。
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